この結婚はどうせうまくいかない 原作7巻終章-15あらすじ|ただ公正な裁きにすぎない【ネタバレ】

この結婚はどうせうまくいかない 原作7巻終章-15あらすじ|ただ公正な裁きにすぎない この結婚はどうせうまくいかない

🌹 本記事は、『この結婚はどうせうまくいかない』原作第7巻・終章をもとに、高解像度あらすじ形式で構成しています。
会話部分や必要な箇所では、原作の表現を引用しています。
ネタバレ注意:ここから先は、重大なネタバレを含みます。
地名・人名について:本作には現時点で原作小説の公式日本語翻訳版がないため、地名・人名などの固有名詞は原文をもとに当サイトで日本語表記しています。今後、公式日本語版で異なる表記が採用される可能性があります。

終章|風はかつて吹いていた場所へと帰っていく 15

視点は、メンドーサのイサベラと、カイエターナへ移る。

息子を失った二人の母親が、同じ部屋にいた。
一人は死人のように横たわり、もう一人はその涙を丁寧に拭ってやる。

——「私たちは皆、息子を失った母親ではありませんか」

その優しい慰めの中で、カイエターナの憎しみは、やがて一人の女へと向かっていく。

子を失った母親とは、そういうものなのかもしれない

「……カイエターナ様」

窓辺に置かれた長椅子に身を横たえたカイエターナの姿は、まるで死人のように陰鬱だった。

あれから、どれほど時間が経ったのだろう。
イサベラはしばらく数えてみようとして、やめた。

日付が過ぎていく感覚など、もうほとんど残っていなかった。 一日一日が、ただ長い。 昼は苦痛で、夜は永遠のようだった。

その点だけは、カイエターナも自分も大して変わらないのだろう。
子を失った母親とは、そういうものなのかもしれない。

イサベラはわずかな憐れみを抱きながら、ゆっくりと瞬きをするカイエターナを見つめた。

もちろん、オスカルについては別だった。 彼がどのように死んだのか——その話を思い出すだけでも、いまだに身の毛がよだつ。

それでもカイエターナは、たった一夜にして唯一の息子を失った。 最も悲惨な形で。 凄惨に、屈辱的に、苦痛に満ちた死を遂げて。

それなのに母親である彼女が口にできるのは、あの子がどれほど不届きな人間だったとしても、あんな死に方をするほどではなかった——そこまでだった。

息子が無実だったとは、カイエターナ自身にも言えない。 だからこそ、その悲しみを正面から訴えることさえできなかった。

誰にも胸の内を推し量ってもらえないまま、一人で噛み殺すしかない汚辱と屈辱。 そして、あまりにも惨憺たる記憶。

あの子がカッセルを殺したわけではなかった

「……世間の憤りを鎮めるためにも、廃位させることはお前の息子が死んだ日にすでに考えていたのだよ、イサベラ」

カイエターナの嗄れた声が擦れた。

「だが……あの子がカッセルを殺したわけではなかったじゃないか……」

イサベラは何も答えなかった。

カイエターナは天井を見つめたまま、呟き続けた。

本当に強姦したわけでもなかった。
たとえイネスを傷つけたとしても、それは「不幸な事故」で、完全に台無しにしてしまったわけではない。
死んで当然のことをしたわけではなかったはずだ。
ましてやイネスは、子供すら失っていない——。

「あの子はただ罠に落ちただけなのだ……罠に……」

カイエターナの声は、次第に力を失っていった。

「二度と、二度と連れ戻す道が見えない……イサベラ。イサベラ。ああ、これはあまりにも凄惨な罠だ。もう抜け出す道がない。私のオスカルを生き返らせる道がない……」

その呟きには、もはや魂さえ宿っていないようだった。

イサベラは、そんなカイエターナを、壊れたぜんまい仕掛けの人形のようだと思った。

(あの化け物を殺すために、イネスが自分の身体に何をしたと思っているの。
生き返らせるなんて——夢の中でさえ、あってはならない)

夫の唯一のきょうだいであるカイエターナを見つめるイサベラの目から、わずかに残っていた同情がゆっくりと消えていった。

オスカルは、どのような形であれ死ぬべきだった。
この世界から消えなければならない男だった。

「……ああ、私が言いたいのはね、イサベラ。オスカルだって、あんなことをしたくてしたわけではなかったということだ……本当だ……」

従兄弟の妻を欲しがるなど、おぞましいことだとは分かっている。
だが、あの子は決してイネスを傷つけるつもりなどなかった。 それほどまでに欲した女に、血を流させようとするはずがないではないか——。

「……その通りでございます、カイエターナ様」

イサベラは静かに答えた。

イネスにその刃を握らせたのは、誰だったのか

一体、何をしたと思っているのか。

ヴィダ・ヌエバでのあの夜、オスカルがどれほど正気を失っていたとしても。
何が真実で、何が嘘だったとしても。 イサベラにとって、何一つ変わりはしなかった。

イネスの身体を切り裂いた刃が、直接オスカルの手に握られていなかったとしても。
イネスにその刃を握らせたのは、誰だったのか。

そもそも、従兄弟の妻であるイネスを欲したのは誰だったのか。 そして、自分の息子を戦場へ追いやったのは、誰だったのか。

その果てに、カッセルは死んだ。

それだけではない。

自分を実の父母以上に慈しんでくれたおじである——フアンさえも、オスカルは自ら手を汚して殺そうとしたではないか。

どれほど回復したところで、もう以前のような頑健な身体には戻れない。 その言葉が胸に刺さり、眠ることさえできなかった。

けれど、今は——。
もはや、感覚と呼べるものさえほとんど残っていなかった。

息子を失った今もなお、イサベラを動かしているのは、エスカランテに残された家族を守り抜かなければならないという、強迫観念にも似た義務感。 そして、ほんのわずかな希望だった。

イネスの中で、あらゆる苦痛と困難を乗り越え、ようやく芽吹いたエスカランテの子供たち。 その、切ないほどの希望。

あの子たちのことを思えば、エスカランテにはまだ進むべき未来があるのだと思い知らされた。
息子に先立たれた母親でさえ、未来を見つめずにはいられなくなる。

いつか、その子供たちの中に再びカッセルの面影を見つけることもあるだろう。

(イネスが自分の命まで投げ出すようにして守り抜いたのだから、どうかこの世に生まれてからは、何ひとつ気兼ねすることなく穏やかに生きてほしい)

幼いカッセルを守ってやれなかった分まで、せめてあの子供たちには報いたかった。
彼らにとってだけは、この世界が完璧なものであってほしかった。

いまだ夫の死を受け入れられずにいる哀れなイネスを思えば、彼女とその子供たちのためにしてやれないことなど何もない。

——ならば。

カイエターナを抱きしめる真似くらい、何が難しいというのだろう。

私たちは皆、息子を失った母親ではありませんか

イサベラはカイエターナの涙に濡れた顔を、ハンカチで丁寧に拭った。 そして、深い愛情と心痛に満ちているかのような仕草で、その身体を抱き寄せた。

「そのお苦しみは、私が誰よりもよく理解しております」

「う、うぅっ……」

「カイエターナ。あなたの苦しみは、すべて分かりますわ。あなたが私の苦しみを理解してくださっているように」

イサベラは優しく言い聞かせた。

「私たちは皆、息子を失った母親ではありませんか。そうでしょう?」

その言葉と腕に、カイエターナは抗うこともなく引き寄せられた。

イサベラの肩に顔を埋め、呆然と涙を流していたが——ふいに、カイエターナの目に不気味なほどの焦点が戻った。

イサベラをじっと見つめる。

「……すべて、バルカの娘の仕業だったのだ」

「……」

「あの女は、イネスをそれほどまでに憎んでいたというではないか。毒殺まで企てるほどに……」

それもまた、壊れたぜんまいが立てる音のようだった。 同じ言葉を、何度も、何度も繰り返す。

イサベラは、すべて分かっているというように静かに頷いた。

ただ公正な裁きにすぎない

——そうなるまで、カイエターナの耳元で誰よりもアリシアの名を囁き続けたのは、ほかならぬイサベラだった。

(カイエターナ様。あなたの愚かで不運な息子が死んだのは、すべてあのバルカの娘のせいなのですよ)

(オスカルは、あの日、本当ならあんなふうに死なずに済んだのに……)

何度も、何度も。

(オスカルを早くから骨抜きにしたのも、あの女です。あの邪悪な娘だったのです。あの女が、オスカルの中に悪霊を吹き込んだのです……)

(私はオスカルを少しも恨んでなどおりません。むしろ哀れに思っています。あなたの惨憺たる胸の内を、骨の髄まで分かっておりますわ)

(あなたのたった一人の息子を。あなたの未来を。いずれ皇帝となるはずだった息子を……)

そして——

(皇帝の母となるはずだったあなたを。あなたが一生をかけて築き上げてきたすべてを、アリシア・バルカが台無しにしてしまったのですよ……)

棘をまとった甲冑のようだったカイエターナの心は、すでに打ち砕かれていた。
今や脆弱になりきったその頭の中へ、イサベラは繰り返し、繰り返し、同じ言葉を植え付けていった。

憎しみの標的は、いくつもあるより一つの方が強固になる。そして洗脳とは、自分自身で思い込もうとするよりも、誰かの声を借りた方がずっと早い。

一度それを「事実」として受け入れてしまえば、その上にどれほどの憎悪を積み重ねようとも、それはもはや感情的なものではない。 本人にとっては、厳然たる事実になる。

すべてが事実なのだから——『あの女』にどれほど残忍な仕打ちをしたところで、それは復讐ですらない。

ただ公正な裁きにすぎない。

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