原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第1巻第5章③をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。
カルステラの新しい官邸で迎える、最初の朝。
そこには、私たちの想像を遥かに超えた「カッセル・エスカランテ」の素顔が転がっていました。
プロローグでの彼の「遊び人」という噂を信じていた読者にとって、この朝の光景は一つの転換点になるでしょう。
イネスが必死に「これは新婚だから」「男の生理現象だから」と自分に言い聞かせる一方で、彼の行動の端々に、「義務」では説明のつかない違和感を見出すことになります。
📖この記事の位置づけ
◀第5章②|「小さな官邸」と「セビーヤ」の呪縛(前の記事へ)
第5章③|聖なる盾を貫く「過剰な義務感」(この記事)
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あらすじ|「聖なる盾」vs「本能の蔓」
初夜の翌晩、イネスが寝室で広げたのは聖書でした。
淫らな空気を遮断するための「聖なる盾」。
彼女は関心を装い、祈りに没頭することでカッセルを遠ざけようとします。
しかし、結果はーー
朝目覚めた彼女を待っていたのは、古木の根のように頑強で、蔓のようにしつこく自分を縛り付けるカッセルの腕でした。
🍒 カッセルの制御不能な衝動の萌芽
イネスはこれを「寝相の悪さ」として処理しようとします。
つまり、あくまで“生理現象”として理解しようとしている。
しかし問題はそこではありません。
彼の腕は、無意識の状態でなお、彼女を手放さない。
それは「義務」でも「理性」でもなく、
制御できない衝動として現れている行動です。
考察01|「遊び人」の仮面と、剥き出しの誠実(?)
まず注目すべきは、イネスがこの状況をどのように理解しようとしているかです。
カッセルの振る舞いは、明らかに過剰でした。
精力的で、乱雑でありながら、妙に一途でもある。
その異質さに違和感を覚えながらも、イネスはそれを「新婚だから」と説明しようとします。
物事は始まりの時期こそ最も熱量が高く、やがて落ち着いていくもの。
たとえ愛があったとしても冷めるのだから、最初から愛のない結婚における熱意など、いずれ収まるはずだと。
「……いつまで新しい女ばかりを求める性分を抑え続けられるかは分からないけれど」
(引用:原作第1巻第5章)
つまり彼女は、目の前で起きている出来事を
“一時的な義務感”という枠組みの中に押し込めようとしている。
しかしその説明はあまりに無理があるように思えます。
問題は、カッセルが遊び人かどうかではありません。
イネスが彼の行動を「義務」や「経験」で説明しようとする一方で、
その枠組み自体が成立していないことです。
イネスは、彼の熟練した手つきを「経験豊富ゆえ」と分析しますが、果たしてそうでしょうか。
もし、彼がこれほどまでに執拗に、そして「恥じらいもなく」欲望を露わにする相手が、人生でイネスただ一人だとしたら?
司令部に異動し、体力を温存し、朝から「切り落としてくれ」とまで言い放つ極端な台詞の数々。これらがすべて、長年抑え込んできた彼女への情熱の裏返しだとしたら……。
「新婚だから一時的なものよ」と冷めた目で観照しようとするイネスと、
一時間前から目を覚まし、彼女の匂いに狂わされながらじっと抱きしめ続けているカッセル。
この凄まじい熱量の差に、私たちの「カッセル応援旗」はさらに高く掲げることとなるでしょう。
考察02|セビーヤの残像と、塗り替えられる「今」
窓の外から聞こえる波の音は、
イネスを再び「セビーヤ」の記憶へと誘います。
わずか3日しか滞在しなかったが、美しい街だった。
エミリアーノと過ごし、絶望の中で彼を失った、あの日、あの朝。
彼女の魂は、長い間その小さな港に閉じ込められたままでした。
エミリアーノが今夜、再び死ぬことを知っている朝…
目を閉じればあの日が訪れ、目を開ければ絶望が繰り返される。
幼い日々では、ただただ現実感なく追いやることのできた記憶だった。
今世でエミリアーノに初めて出会った時と同じ16歳になり、
彼が命を落とした20歳似至るまでの間、
これらの記憶はひどい実感として訪れ、4年もの間、彼女を苦しめ続けた。
エミリアーノと指先だけでも再び触れ合うことになるのではないか、
彼をまた死なせてしまうのではないか……
イネスは、それがとても怖った……。
しかし、今、彼女を包んでいるのは、エミリアーノではない別の男の、あまりにも逞しく、体温の濃い腕です。
「海を目の前にしてからは、セビーヤの夢も、エミリアーノの夢も見なかった。ただ眠りから覚め、彼を少し思い返してみるだけだった。エミリアーノではない別の男の腕に抱かれて……。」(引用:原作第1巻第5章)
かつて悪夢のように彼女を支配した場所の名前を、
今はカッセルの腕の中で「退屈そうに」鑑賞している自分。
イネスにとっては「無気力な諦め」かもしれませんが、
カッセルという強烈な生の実感が、彼女を過去の呪縛から引き剥がし始めている「希望」の光のようにも見えてきます。
つまりこの瞬間、イネスの中には「過去」と「現在」が同時に存在しています。
原作ならではの見どころ|二人の温度差
このやり取りの本質は、「温度差」にあります。
イネスは状況を制御しようとし、カッセルはそれを意に介さない。
この意識の食い違いが、二人の関係を進める原動力になっています。
まとめ|溶け出した「聖なる盾」
今回の考察では、官邸での最初の朝に露呈した、二人の決定的な「温度差」を紐解きました。
イネスは、「義務」としてこの状況を処理しようとする。
カッセルは、その枠組みの外にいる。
その結果、彼女の理解の方法では、目の前で起きていることを説明しきれなくなっている。
だからこそ、彼女の掲げた「聖なる盾」は機能しません。
義務では説明できないものが、すでにそこにあるのです。
この朝も、二人の関係はまだ進んだわけではありません。
ただ、「制御できないものが存在する」と、イネスが初めて突きつけられた瞬間です。
朝の日差しの中で、ドレスルームへと逃げ出したイネス。
追いかけるカッセルの足音は、今後さらに執拗に、そして甘く彼女を追い詰めていくことになるのでしょうか。
📖 この章で描かれている違和感は、1巻全体の構造の中で見るとよりはっきりしてきます。
→ 原作1巻総括|すべての始まりに隠されたすれ違いを整理
📚この記事を読んだ方へ
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📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・comico(※配信開始) | 20話相当 |
| めちゃコミ | 21話(推定) |
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
📖 原作小説・漫画(韓国語版)について
管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
- 原作漫画:kakaopage
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