🌹 原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第3巻9章を高解像度あらすじ形式で構成しています。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点による考察を含みます。
本文中の会話・台詞は、原作の表現を適宜引用しています。
これは事故だった
イネスは男たちの目を知っている。
だから分かってしまった。
カッセルの目にあるものが、いつものそれとは違うことに。
あらすじ|火種はどこにでもある④
明け方に目覚めたイネスを、カッセルは慎重に寝かしつけ、再び眠らせた。
七時前、二人は裸のまま同じベッドで朝食をとった。
親密に過ごした翌日のカッセルは、いつも以上に元気で、活気に満ちて、繊細に彼女を気遣う。
パンを口に運び、水を飲ませ——そのあまりに過剰な親切の中で、イネスはふとカッセルの目を見た。一瞬の熱でも、思い込みでもない。
恋に落ちた男の目だった。
冷や汗が出た。
まだ五時半だ
明け方、バルコニーから入ってきたカッセルに、イネスは眠気でぼやける目を向けた。
何時かしら、と時計を探した瞬間、カッセルが言った。
「まだ五時半だ。もっと寝るといい」
「もしかして私が声に出していた?」
イネスは自分を振り返った。
朦朧としていて、何を口にしたのかも分からない。
彼女は本当に朝が弱かった。
カッセルが涼しい明け方の風を入れ、ベッドに戻ってくる。
乱れた髪を梳き上げ、眉を寄せた額を撫でながら言った。
「可愛いな……」
——「可愛くないわ」
断固としていたけれど、少し唸るような声だった。それでもむっとしたのは間違いなかった。
「可愛くて死にそうだ」
——「じゃ、死ねば……」
無意識に近い状態で、単語だけを受け取って呟く。
「こら、夫に死ねなんて言うんじゃない」
「ん…………」
額と頭頂に唇が落ちた。
イネスはすぐにまた眠った。
涼しい空気を纏った彼のシャツに、体がすっぽり包まれた。
君の食事の隣には、私の食事もあるんだ
はっきり目を覚ましたのは、カッセルがベッドを離れる頃だった。
「行くの?」
——「まだだ。君の食事を中に運んでから」
「忙しいくせに。行けばいいのに」
——「君の食事の隣には、私の食事もあるんだ」
七時前だった。
つられて朝が早くなったせいか、頭は前よりすっきりしていた。
カッセルはイチジクパンを食べやすい大きさに切り、ヨランダが薄く切った燻製肉を添えた。
あの日以来いつもそうだったが、特に体の関係を持った翌日は、彼はひどく気遣った。
そして、ひどく元気で、活気に満ちていた。
「こちらが疲れるほど、むこうはもっとすっきりしているような気がするのは、気のせいかしら?」
無駄なこと
昨夜、二人は真の意味では関係を持たなかった。
浴槽の中でも散々戯れたけれど、何の結実もなかった。
リンゴの木に花だけ咲いて、リンゴはならないように。
「本当に無駄なことじゃないかしら?」
イネスは不満そうに顎をついた。
夫婦の義務は後継ぎを産むことにあって、昨夜のようなことは無駄なエネルギーの浪費だと。
「お互いの欲求を満たしてあげるのも、一種の義務だ」
ある意味その通りだった。
けれど——
カッセルが関係を持ちながら彼女に尽くす情熱ほど、彼女が彼に情熱を傾けたことが、一度でもあっただろうか。
記憶する限り、なかった。
どうにも気に入らず、イネスは顔をしかめた。
カッセルはそれを見て「可愛い」とまた繰り返す。
むくれるのも、嘘をつくのも可愛いと。
自分は本当に、こんな扱いを受ける人間ではなかった。
繭のように巻かれて
パンを口に運ばれ、「よくできました」と子供扱いするかのように褒め言葉が返ってくる。
イネスは布団の中から彼を足で蹴った。
「あっちへ行って、早く血が滴るような肉を食べなさい」
——「今日は違うよ。君の機嫌を損ねるかと思って、よく焼いてもらったんだ」
手が要らないついでに、イネスは繭のように布団でぐるぐる巻きにされ、彼の過剰な親切を受けた。
もう、それを避ける努力をするのも面倒だった。
「君があまりにも可愛いから、行きたくない」
ぽかんと開いた口が、パンのかけらを受け止めそこねて落とした。
彼女の唇に触れたものが、当然のように彼の唇に入っていく。
同じカップを使い、裸のままベッドで食事をする。
寝巻きを探すそぶりさえない。
あれは紛れもなく恋に落ちた目だった
イネスは目を細めて、カッセルの顔を見た。
正確には、彼の目を見た。
彼女は男たちのそんな目を知っていた。
一瞬魅せられただけの思い込みであろうと、彼女をよく知りもしないくせに勝手に憧れていようと、どんな男でも、少なくとも一度は似たような目で彼女を見つめた。
イネスは乾いた唾を飲み込んだ。
あれは紛れもなく、恋に落ちた目だった。
「……一体、私の何に……?」
冷や汗が出た。
差し出された肉を、まともに噛むこともせず飲み込む。
そうするとすぐにコップが近づいてくる。
喉を詰まらせないかと、終始繊細な気遣いが彼女を包む。
水を飲み込むと、カッセルの瞳が濃くなった。
他の時なら、また何か想像しているのだろうとやり過ごしただろう。
今は違った。
あれは欲求のようなものではない。
似ているけれど、決して同じではない。
冷たい水が喉を通ったのに、また喉が渇いた。
これは事故だった
イネスはずっと、この結婚を計算の中に置いてきた。
義務としての関係。無駄なこと。利己的な理由。
そう呼ぶことで、線を引いてきた。
けれど、彼の目に宿っていたものだけは、もう別の何かとして片づけることができなかった。
イネスには、それが何なのか分かってしまった。
これは事故だった。
▶ 次の話(続き)【第9章|火種はどこにでもある】
→3巻第9章⑤| 大きな事故ではない(※更新予定)
📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO | 第43話相当 |
| めちゃコミ | 第44話相当(推定) |
📖 作品情報・配信プラットフォーム
この結婚はどうせうまくいかない 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
日本語版漫画
韓国語版(原作)
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