宴の翌日から、イネスは安静を強いられる日々が始まった。
身近な者全員から、代わる代わる「ベッドから一歩も動くな」と言い聞かされた。
侍女たちは、イネスが少し身をひねるだけでもフアナへ報告した。
そしてフアナは、イネスに圧力をかけられるすべての人々に言いつけた。
エスカランテ公爵夫妻に、ヴァレスティナ公爵に、ルシアーノに、ミゲルに——。
ネタバレ注意
ここから先は、重大なネタバレを含みます。
第16章「川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない」②|あらすじ
父との攻防
「出産まで動くな」という父親の言葉は、この日で九回目だとイネスは答える。
枕に体を預け、気だるげに本のページをめくりながら。
父親とルシアーノが入室した時に、たまたま窓の外を眺めていたイネスは、
その場でベッドまで連行された。
将来子供が自分と同じように言うことを聞かなかったらどうするつもりだと父親が問うと、
イネスは涼しい顔で返した。
「それは親の罪だと思うべきでしょう——お父様がそうであるように、」と。
言い争いに決着がつく前に、ルシアーノが洗ったリンゴを持ってきた。
イネスは本をパタンと閉じた。
食べられないイネス
あの宴の夜以降、イネスが辛うじて口にできるようになったものは、切り分けていない果物と、目の前で綺麗に洗ったものだけだった。
信じられなくて拒絶しているわけではない。
ただ、自分の目で確かめていないものは、体が受け付けなかった。
水でさえ疑って吐き戻したことも数回あった。
そんな娘に向かって父親は「肉を食え、リスでもあるまいし」と言い、イネスは「リスはこんなに大きなものは食べられない」と言い返す。
ヴァレスティナ公爵は、イネスが六歳の頃、熱病から回復して以来、娘に何ひとつ勝ち越したことがなかった。
ヴィダ・ヌエバへの出席宣言
ダンテへの報酬を確認したイネスは、続けて冬の入り口に開かれる祭り——「ヴィダ・ヌエバ」への出席を切り出した。
使徒聖アナスタシオの祝日を記念し、宮廷でも街角でも誰もが酔いしれて踊る日——皇帝が最も愛する祝日でもあった。
父親は即座に断ったが、イネスは引かなかった。
宴の夜から六日が過ぎていた。
毎日宮廷に出入りしていた女が突然姿を消せば、誰もがひとつのことを疑う。
アリシアに妊娠を気づかれた瞬間、この子が危険に晒される——。
アリシアは緻密だ。
そして時に、その緻密さを自ら壊すほど衝動的だった。
イネスは続けた。
妊娠を知られた時には、もうパノテのような生ぬるい手段は使わないだろうと。
父親は沈黙した。
隠し通す計画
表向きは、まだ全てがそのままだった。
薬剤師を通じてパノテがそのまま入ってきており、アンヘリカは以前と同じ処方を伝え続けている。
他の無実の女たちに渡る分だけ本来のものにすり替えさせただけで、
イネスの薬は以前と同じに見えるはずだった。
「最低限、子供が今よりも成長する時間が必要です。お父様」 (引用:原作6巻)
子供が少しでも育つ時間を稼ぐために。
カッセルが帰還するその日まで、消えないでいるために。
カッセルへ、ついに
補給船が明日付けでカルステラを出発するという。
イネスが慌ててベッドから起き上がろうともがくのを、ルシアーノが肝を冷やして支え上げた。
あらかじめ書いておいた手紙が一通もないのかと問われ、イネスは噛みつくように返した。

「書いたところで送れもしないものを、なぜ書いておくのよ。
無性に会いたくなるだけなのに」
ルシアーノがインクと紙を持ってくるまで、
イネスは手のひらに顔を埋めたまま頭をフル回転させた。
カルステラで初めてカッセルに似た子供を想像した日のことを。
避妊をやめると決めたあの人のことを。
ティリダードを見つけて正気を失って食ってかかったあの日のことを。
腹の中の子どもたちは、きっと自分のひねくれた性格ばかり受け継いだのだろう。
しかも二人分となれば、なおさらだ。
戦場のカッセルに、ついに知らせを送ることができる夜だった。
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📖「6巻の読み方はこちら」
→6巻以降の読み方ガイド
※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
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※本記事は作品内容の分析・評論を目的としたものであり、原作の翻訳全文を掲載するものではありません。