この結婚はどうせうまくいかない 原作5巻13章 ①|大丈夫という確信、隠された傷【ネタバレ】

この結婚はどうせうまくいかない|13章①大丈夫という確信、隠された傷 この結婚はどうせうまくいかない

原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第5巻第13章①をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。


朝の祈りを終えたとき、ロゴルーニョの丘道を下ってくる黒い馬が見えた。
イネスは本を投げ出し、使用人たちを押しのけて走り出した。

五日間、誰にも言わなかった。
彼を待っているとは、一言も。

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あらすじ|帰り道 ①

メルセデス通りで倒れたイネスは、
ルシアーノの手によってマルデルの別荘に運ばれ、十数日を過ごした。

カルステラへの帰還を決意したイネスは、ルシアーノの馬車を借りてカルステラへ戻る。

「カルステラに行って、カッセルに会えば大丈夫になると思うから。
彼と一緒にいれば大丈夫だと思うから……」

一方、カッセルは予定の日を五日過ぎても帰還しなかった。

イネスは二階の小さな倉庫部屋にこもり、
丘道が見渡せる窓から毎日、道だけを見下ろした。

本を開いてはいたが、視線は一度も文字を追うことはなかった。

ある朝、黒い馬に乗ったカッセルが姿を現す。
イネスは馬小屋へ駆け込み、カッセルの背中を抱きしめた。

カッセルは、正面から彼女を見ることができず、
ただ長い時間、彼女の手に口づけを繰り返します。

しかし、再会の安堵はすぐに消えます。

カッセルの額に巻かれた包帯を見つけたイネスは、顔色を変えて彼を問い詰める。
カッセルは「大したことではない」と、頑なに目を逸らし続けました。

考察01|ルシアーノが見ていたもの

イネスが自分を見るだけで呼吸困難に陥る。
兄であるルシアーノにとって、それはあまりに過酷な現実でした。

「毎日見守りたくても見守ることができなかった。遠くからでも、目を開けない瞬間でも、そばにいてあげたいのに、そうすることができなかった。」(引用:原作6巻)

彼は、妹の病の原因を知らない。

なぜ自分を見ると発作が起きるのか。
なぜ二十歳になった途端に病が消えたのか。

何もわからないまま十数年を過ごし、
そして今、また倒れた妹のために真っ先に駆けつけたのでした。

考察02|寝室のカーペット、「書き換えられた」意味

カッセルのいない寝室に一人立ったイネスは、足元を見た。
カーペットが変わっていた。
カーテンも、寝具も、全て。

ラウルの報告で、深夜の銃声、乱闘の跡、血に染まった寝室のことはすでに知っていた。

後ろに引っ張られるように倒れて見上げる視界に、
アナスタシオの服の端が見えた臨終の瞬間が思い浮かぶ。

息が絶え絶えだった感覚がぞっとするほど鮮明なのに、
頭の中を蝕むのは、あのベッドに無力に横たわったまま探し回っていたカッセル・エスカランテの痕跡だった。

あのとき、彼はどこにいたのか。
彼女が死ぬことを知らずに平凡な一日を過ごしていたのか。
戦場で彼女を恋しがっていたのか。
それとも、すでに死んでいたのか——。

テラスに出たイネスの考えは止まらなかった。

過去だと思えば恐ろしく、未来だと思えばもっと恐ろしい。
それでも彼に何事もなければ、恐ろしい記憶だけが増えることを願った。

「でも、それが本当に過去のことならだけどね、カッセル。」(引用:原作5巻)

返事が返ってこないことを知りながら、イネスは静かに囁いた。

考察03|五日間、彼女は待っていた

イネスがカルステラに戻ったのは、カッセルの帰還前日ではありません。
ラウルが後に、カッセルに明かします。

五日前だったと。
その間ずっと、二階の小さな倉庫部屋を離れなかった。

ロゴルーニョの丘道が見渡せるのは、
彼らの小さな邸宅の中で、その部屋からだけでした。

かつて住んでいた、将校夫婦の子供が使ったらしい小さな机。
イネスはカーラにそこだけを整えさせ、本を持ってそこに座った。

視線はほとんど道の上にあった。
本の文字を追っているふりをしながら。

時折祈り、たいていは平穏で、
時には恐怖が血肉に刻まれたような気がした。

日が暮れると、彼の不在をひたすら思い出し、待つことにうんざりした。
それでも彼を待たない方法がわからなかった。

誰にも言わず独りで。

考察04|彼を抱きしめるまで、波の音が聞こえなかった

朝の祈りを終えたとき、丘道を下ってくる黒い馬が見えた。

ラウルを押しのけ、アロンドラを押しのけ、
廊下を横切り、玄関の扉を開けて階段を駆け下ります。

馬小屋に、カッセルの後ろ姿がありました。
イネスはようやく彼の背中を抱きしめた。

「大きな贈り物」だと自称して傲慢に笑おうとした。
しかし彼の背中に額を乗せた瞬間、気が楽になるのが不思議でした。

彼を抱きしめるまで、まるで波の音を聞いたことがなかったように、
改めて崖の下の波の音が耳元に押し寄せてきた。

そこで初めて、イネスは気づきます。
カルステラに戻ってからの自分は、生きていたというより、ただ呼吸していただけだったと。

朝に目を開け、祈り、死なないために食べ、誰かの言葉に空返事をする。
今になってようやく、眠りから覚めたような気がしました。

🌹この「待つ」構図は、後に描かれる最初の人生とも静かに重なります。
イネスはいつの人生でも、彼の帰還を待ち続けていたのかもしれません。

考察05|震える手と、無言の祈り

カッセルの様子は、いつもと明らかに違っています。

頭のてっぺんから爪先まで熱心にキスを降り注ぐいつもの彼ではなく、
カッセルはただ静かに彼女を抱きしめ、彼女の手に長い時間口づけし、
音のない祈りを唱え続ける。

唇が皮膚に触れたまま動く。
祈りの言葉が息づかいとともに肌に染み込んでいく。

カッセルの手が震えていた。

イネスはその震えを「感激のあまり」と解釈しようとします。
本当は自分こそが、五日間ここで待っていたのに。

「あなたが馬鹿みたいに長く戻ってこない夢を見たの。うんざりするほど長く、汚いほど覚めない悪夢だったわ、カッセル。」(引用:原作5巻)

夢と呼んではいた。
けれど彼女は、その悪夢を実際に五日間生きていた。

考察06|傷を隠す——習慣の正体

包帯を見つけた瞬間、空気が変わります。

イネスは問い詰めますが、カッセルは「大したことではない」と繰り返し、目を逸らし続けます。

メンドーサでの銃創もそうだった。
彼はいつも、自分の傷を見せない。

「もしかしたら、その幼い頃からの習慣だろうか?」(引用:原作5巻)

イサベラから聞かされた、幼少期から身についた「隠す」という癖。

傷を見せれば母親を心配させてしまうから。
だから隠すのだ。

しかし、今、目の前にいるカッセルに、イネスはなにか説明できない違和感を覚えます。
その正体は、まだわからない。

まとめ|「生きている実感」を求めるための再会

イネスはこの五日間、誰にも一言も漏らさなかった。
待っているとも、怖いとも、会いたいとさえも。

ただ、外へと続く道が見える窓辺に座り、本を開き、静かにその時を待っていました。

カッセルが帰ってきた朝、止まっていた波の音がようやく戻ってきた。
けれど、この再会ですべてが元通りになったわけではない。

カッセルが抱える傷も、彼が執拗に目を逸らし続ける理由も、
依然として暗闇の中に置かれたまま、イネスはその正体がわからず不安に駆られます。

それでも、確かにイネスは理解していました。
「この人と一緒にいれば、自分は大丈夫だ」と。


次回、原作5巻13章 ②|初夜の違和感が回収される夜へ続きます。

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📖 作品情報・配信プラットフォーム

  • 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
  • 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
  • 原作: CHACHA KIM
  • 脚色: CHOKAM
  • 作画: Cheong-gwa

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ピッコマ・LINE漫画:103〜104話相当
めちゃコミ:113〜114話相当(推定)


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