ウルテカノ基地へ向かう補給船が出るという知らせが届いた。
カッセルへ手紙を送れる、久しぶりの機会だった。
イネスは机に向かった。
ネタバレ注意
ここから先は、重大なネタバレを含みます。
第16章「川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない」⑩|あらすじ
※原作では「第16章-2 川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない」に該当します。
※本サイトでは連載の流れを優先し、第16章⑩として掲載していきます。
書いては破り、書いては破り
一度目は八つ当たりだった。
二度目も八つ当たりだった。
五度目の書き直しになっていた。
エルバ少佐への腹立たしさ。
「入隊するのにちょうどいい年齢のセニョールたちを全員ラス・サンディアゴへ送り込みたい」という物騒な空想。
「会いたすぎて腹が立つ」という一文。
自分でも分かっていた。
カッセルへの手紙のつもりが、しきりに脅迫状のようになってしまうことを。
ルシアーノが部屋に戻ってきた。
——「また書き直しているのか?」
手紙の中で溢れ出すもの
気持ちを落ち着けて書き直した手紙には、
先ほどまでの八つ当たりなど跡形もなかった。
そこにいたのは、
毎日少しずつ募っていく寂しさを、もう隠しきれなくなったイネスだった。
カッセルが海へ出てから、毎日考えている。
今日はどこの海にいるのか。
無事だろうか。
朝の祈りも、気づけば彼のためのものになっている。
カルステラにいた頃のように朝早く起きるようになったのも、子供たちのせいだと思っていたけれど——本当にそうだろうか。
そんなことを書き連ねていたイネスは、
ついに自分でも誤魔化せない一文を書いてしまう。
『あなたがいる時よりも、さらにあなたを感じるわ。ほんの一瞬たりとも、忘れていることができないようにさせるの。本当に奇妙で、理解することもできないことだわ。それなのに嫌ではないのが不思議なの……結局、それほどあなたを……』
(引用:原作7巻)
そこまで書いた瞬間、イネスの手は止まった。
その続きを書いてしまえば、
自分が何を認めることになるのか分かっていたからだ。
イネスは幼いセニョリータのように頬を赤らめ、大慌てで文面をごまかした。

「しきりに覗き見しないで!」

「見たくもないのに見てくれと言っていたのはどこのどいつだ」
双子の近況と、名前の話
お腹がずいぶん丸くなってきたこと。
男の子か女の子かはまだ分からないこと。
息子二人なら「リカルドのほかに一人」、
娘二人なら「イヴァナのほかに一人」——
「ほかの一人」のために、もう一つずつ名前を確定させておくよう命じた。
双子の名前を考える役目も、いつの間にかカッセルのものになっていた。
それを当然のように任せていること自体、彼の帰還を疑っていない証拠だった
『帰還する道のりでは他にすることもないでしょうから、こんなことでも研究しておきなさい。お腹が丸くなった私を見るなり、この上なくいじらしく、殊勝に思う準備もしておいて』 (引用:原作7巻)
「気をつけて行ってくるわ」
フアナが押し入ってきて、ヴィダ・ヌエバへの出発を急かした。
今日、ヴィダ・ヌエバへ行くことにしたこと。
おそらく出産前、最後になる外出だろうということ。
それは、ごくありふれた近況報告の一つに過ぎなかった。
『気をつけて行ってくるわ。私がいつでも平穏であるように、あなたも平穏でありますように。』
——メンドーサ、あなたの家にて。あなたのイネスより (引用:原作7巻)
イネスは手紙を閉じた。
それは夫の無事を願う、いつもと変わらない手紙だった。
だが、その「いつも」は長く続かなかった。
それから6時間後。
イネスは、自らの平穏から最も遠い場所へと突き落とされることになる。
← 第16章-⑩|カルデロンの孫と、大領主の最後の言葉(前の記事へ)
→ 7巻第16章-⑪ |これは私たちの運命じゃない(次の記事へ)
📖 原作6巻を振り返る
▶ 原作6巻総括|神は救わない。それでも人は救われていく
📖「6巻の読み方はこちら」
→6巻以降の読み方ガイド
※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
📖 原作小説・漫画(韓国語版)について
管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
- 原作漫画:kakaopage
※海外サービスのため、日本からの利用条件は事前確認をおすすめします。
【免責事項】
※翻訳方針については当サイトの「翻訳・引用ポリシー」をご確認ください。
※本記事は作品のテーマを考察するものであり実在の行為を推奨・肯定する意図はありません。
※作品の引用・翻訳は著作権法の範囲内で行い、引用元を明記しています。
※本記事は作品内容の分析・評論を目的としたものであり、原作の翻訳全文を掲載するものではありません。