オスカルが語り始めた。
イネスが覚えていない、最初の人生の話を。
ネタバレ注意
ここから先は、重大なネタバレを含みます。
第16章「川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない」⑭|あらすじ
覚えていない最初がある
現に恐怖に怯えた顔をしているのは、オスカルの方だった。
——「君が覚えていない、僕たちの『最初』があるんだ。イネス」
最初の人生のオスカルは、
今の彼とも、イネスが知っている彼とも違った。
——「あの時の私は、クズ以上でも以下でもなかった」
欲しいものを手に入れられない感覚を、
あの時初めて知ったのだと彼は言った。
——「君は、死ぬまで君の夫を愛さなかったから」
オスカルはそう信じていた。
最初の人生で、イネスはカッセルを愛さなかったと。
それだけで満足しなければならなかった。
一体、どれほど上手く隠し通していたのか。
ビビアナ・カスタニャールの葬儀にベールで顔を隠し、泥棒のように現れて盗み見た愛を、死ぬまで世界は知らなかったのだろう。
イネスは虚脱したように笑った。
カッセルも同じだったのだろうか。
何も知らず、最後まで彼女の愛を知ることもなく……。
カッセルを殺した
やがてカッセルは戦場で死に、英雄として祭り上げられた。
——「あの男は死んでからのほうがずっと厄介だったんだ。
その名前はいつまでも私の首に巻き付いて離れなかった」
——カッセルを殺したことは、自分の手足を自分で切り落としたのと同じだったのだ、と。
誰も信じられなかった。
自分を支えるものまで、自分の手で切り捨て続けた。
そして気づいた時には、もう転落を止める術がなかったのだと。
エスクエル家の私生児
そうしてある日、エスクエル家の私生児が生きて現れた。
——「ルシアーノ……。ルシアーノ・ヴァレスティナ」
オスカルによれば、
ルシアーノはオソルノ公爵やイハル公爵を味方につけ、自分を追放するための反乱を主導した。
その結果、オスカルは拘束され、処刑場へと追い詰められた。
だが彼は、それを自らの罪への報いではなく、
理不尽な犠牲だったのだと語る。
「使徒が私の味方をされたのだ。あの日の処刑は、私の運命ではなかった」
(引用:原作7巻)
しかし、運命とは正誤の領域ではなかった。
ただ、そのようになるよう定められているだけのこと。
すべてを正した
回帰した時、オスカルはすべての始まりが
イネスを手に入れられなかったことだったのだと確信した。
「イネス、君のためにすべてを正した」 (引用:原作7巻)
だから父皇には従順な息子を演じた。
世界に嫌われない男になった。
イネスの父に認められる婚約者になろうとした。
——「君が覚えているあの良い時代のすべての私は、君のために変わった私だ」
オスカルにとって回帰はやり直しではなかった。
イネスを手に入れるための、二度目の人生だった。
忘却しないこと
しかしルシアーノへの憎悪だけは、どの人生でも消えなかった。
「私が望むことといえば、ただ忘却しないことだけだった。」 (引用:原作7巻)
オスカルにとって重要だったのは、新しい人生そのものではなかった。
——忘れないこと。
——奪われたものを取り戻すこと。
そして二度と同じ失敗を繰り返さないことだった。
その執念は、やがて恐ろしい告白へと繋がっていく。
オスカルが忘れたくなかったのは、処刑の瞬間だけではなかった。
拉致され、ペレスに監禁された日々。
ルシアーノへの憎悪。
そして、自分を追い詰めた者たちへの復讐心だった。
その記憶は、回帰してもなお消えることがなかった。
「ペレスへ戻ってくるたびに、私の指を一本ずつ切り落としたのだ」 (引用:原作7巻)
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📖 原作6巻を振り返る
▶ 原作6巻総括|神は救わない。それでも人は救われていく
📖「6巻の読み方はこちら」
→6巻以降の読み方ガイド
※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
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