カッセルは、イネスが馬車の中で、何度も指先を傷つけながら完成させたハンカチを、
聖遺物のように大切に扱う。
エスカランテの領地「Esposa」ではなく、
「Ines」という名が刻まれたその布を、カッセルは「夢のようだ」と愛おしげになぞる。
これを見るたびに君を想うという彼の言葉は、
迷信を信じないイネスの心を強く揺さぶります。
たかがそれしきのもので泣き崩れる夫の姿を見て、
イネスの胸には申し訳なさが込み上げます。
もっと早くから準備すればよかった。
もっとゆったりと祈りを込めながら、彼にふさわしい、
もっと良いものを贈るべきだった。
そうして、二人は名残を惜しむように、最後の一夜を過ごす。
第15章「人間と獣の時間」15章-⑮|あらすじ
共に過ごす最後の一夜、
カッセルはイネスの傷だらけの指先から片時も目を離そうとしない。
浴槽の湯が冷めるまで、彼は痛ましいほど切実な面持ちで、
その指を一本ずつ愛おしみ、何度も口づけを落とす。
イネスは、彼に悟られぬよう溢れ出た涙で濡れた顔で、カッセルのうなじだけを凝視していたが、
やがて目を閉じ、彼の首を抱き寄せます。
幸せな二人きりの時間の中、イネスは、
「必ず朝に起こして、顔を見てから発ってほしい」と、何度もカッセルに求め、眠りにつきます。
彼女は今や、かつての人生の記憶を、
「彼だからこそ」口にすることができるようになっていた。
兄ルシアーノが黙って去り、春の間中ずっと会えずに悲しかったという、かつての人生の記憶を今の願いに重ねて、黙って自分を置いていかないよう切に願います。
カッセルはその約束を守り、夜明けに彼女を起こします。
「君を想えば、死んでも、死にたくなくなるはずだ」(引用:原作6巻)
出征の朝、薄暗い曇り空の下、二人は別れの時を迎える。
玄関で離れた指先の感触が消えぬまま、遠ざかっていくカッセルの後ろ姿を、
イネスは立ち尽くして見送ります。
使用人たちの視線の先で、彼が次第に遠ざかっていく。
それを感じた瞬間、彼女は我に返ったように、
弾かれた足取りで2階へと駆け上がった。
ロゴルーニョの丘の道が唯一見える部屋ーーあの古い倉庫の窓を押し開き、
イネスは力の限り彼の名を呼びます。
「……カッセル!」

驚いて振り返った彼は、
遠目にもはっきりと分かるほど晴れやかに笑い、馬上から手を振り返す。
「行ってくるよ、イネス」(引用:原作6巻)
そして再び前方へと駆け出し、
やがて道の上から完全に姿を消した。
📖「6巻の読み方はこちら」
→6巻以降の読み方ガイド
※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。
📕 第15章まとめはこちら
→ 出征前夜までの全展開を整理(ネタバレ)
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
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管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
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※本記事は作品内容の分析・評論を目的としたものであり、原作の翻訳全文を掲載するものではありません。