原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第3巻第8章⑯をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。
「君が死ぬかと思ったんだぞ、イネス……」
涙が彼女の額に落ちた。
彼が泣いていた。
📖この記事の位置づけ
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あらすじ|人魚と兵士 ⑯
朝、イネスが目を覚ますと、
カッセルが一睡もしていない目で彼女を見つめていた。
最初に口から出た言葉は「アセベド夫人に言わなければ」だった。
カッセルは呆れた。
カッセルが近くに座り、乱れた髪を払い、濡れた目元を拭った。
イネスはその手に頬を寄せた。
ルシアーノの記憶が浮かんだ。
あの時の兄とは少しも似ていないのに、と思いながら。
やがてイネスは手から逃れた。
ふと不快な気持ちになったからだった。
そしてイネスは説明しようとした。
これはたいしたことじゃない、以前にも何度かあったことだ、
欠陥があるのに言えずにごめんなさいと——。
カッセルは「欠陥」という言葉に表情が変わり、涙をこぼした。
そして部屋を出て行った。
残されたイネスは、椅子に掛かった軍服を手に取った。
「そういう意味じゃなかった」と言わなくてはと思いながら。
扉が再び勢いよく開いた。
「宝石は……、宝石は綺麗だったか?」
カッセルが戻ってきた。
軍服には目もくれず、イネスを強く抱きしめた。
「君が生きていてくれてよかった。」(引用:原作3巻)
考察01|イネスにとっての「欠陥」
イネスにとって、これは事務的な説明だった。
貴族の婚姻とは取引だ。
家柄、財産、健康、出産——条件を満たせるかどうか。
しかしカッセルが恐れていたのは、病気ではなかった。
イネスが死ぬことだった。
「ラウル・バランが官邸にいなかったら、昨日君は死んでいた。」
「私が数か月前、あいつをどうにかできていたら君を殺してしまうところだった……幸いにもそうできなくて、今、君は生きている。」
(引用:原作3巻)
彼が昨夜ずっと抱えていたのは、
イネスを失うかもしれなかったという恐怖だけだった。
考察02|どうしてそんなことを……
カッセルには理解できなかった。
——「……どうして君の痛みが、君の弱点になるなんて言えるんだ。」
昨日、イネスは目の前で倒れた。
本当に死ぬかもしれなかった。
それなのに、どうしてそんな話になるのか。
どうして苦しんでいることが欠陥になるのか。
どうして君の弱点が、僕なんかに有利になるなんて言えるんだ。
僕が君の弱点を使って、一体何をするというんだ。
「僕は……
僕は君が死ぬかと思ったんだぞ、イネス……」涙が彼女の額に落ちた。彼が泣いていた。

考察04|取り返しのつかない予感
カッセルは泣いていた。
そして最後には、自分が犯した覚えのない罪まで背負い込むように謝り続けた。
君にあんな風に手を出すべきじゃなかった。
声を荒げるべきじゃなかった。
そもそも彼はそんなことはしていない。
それでも彼は、自分が世界中の過ちを犯したかのように苦しんでいた。
イネスは言葉を失った。
何か言わなくてはならない気がした。
しかし、声にならない。
夢を見ているようだった。
けれど、それはこれまでの夢とは違う種類の無力感だった。
やがてカッセルは立ち上がった。
——逃げるように。
彼女は、自分が愚かしく見えるほど何もできないまま、
彼が遠ざかっていくのを見ていた。
その背中を見た瞬間、イネスは初めて奇妙な恐怖を覚えた。
ただ寝室を出ていくだけなのに。
まるで取り返しのつかない場所へ向かうように見えた。
まるで二度と戻れない道を歩いていくように。
もちろん理屈ではわかっている。
ここは彼らの家だ。
カッセルはいつものように仕事へ行き、夕方には帰ってくるだろう。
何も変わらない一日として終わるはずだ。
少なくともそう見えるだろう。
もしかしたら彼は何事もなかったかのように笑って、
いつも通り食卓に座るだろう。
でも、そうはいかないかもしれない。
—— もしかしたら
自分は何かを間違えたのかもしれない。
イネスは身を起こした。
「カッセル」
そう呼ぼうとした時には、もう彼は戸口の向こうへ消えていた。
扉が閉まる。
その重い音と共に、彼女の呼吸も一瞬止まった。
やがて視線の先に残されていたのは、椅子に掛かった軍服だった。
それでも、彼が仕方なく取りに戻ってくる前に届けてあげたかった。
「そういう意味じゃなかった」と伝えたかった。
あなたを侮辱したかったわけじゃない。
あなたがそんな人ではないことは最初から知っていたのだから。
しかし、そこでイネスはふと立ち止まった。
「……そうする必要があるのかしら?」
今こそ距離を置くのにちょうどいい時期かもしれない。
計画通り、このまま遠ざかって、
時間が経てば——。
これは決して良い兆候ではなかった
扉が再び勢いよく開いた。
カッセルは戻ってきた。
軍服を取りに来たのではなかった。
——「宝石は綺麗だったか?」
そんな脈絡のない話をしながら、彼は震える手でイネスを抱きしめた。
「君が無事でよかった、イネス」
「本当に嬉しい」
「君は何も悪くない」
まるで思いつくまま言葉を並べるように。
傷ついて、泣いて、部屋を出て行ったのは彼だった。
—— それなのに
気にしていたのは、イネスが無事だったことだけだった。
だからイネスは少しも笑えなかった。
手に負えない感情が押し寄せてきたからだ。
——「君が生きていてくれてよかった」
世の中のありとあらゆる感激を込めたその声に、
イネスはかつて自分に向かって同じように喜んでくれた人たちを思い出した。
そして、その人たちに抱いていた愛情も。
これは決して良い兆候ではなかった。
▶ 次の話(続き)
→3巻第8章 人魚と兵士 ⑰(※更新予定)
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8章「人魚と兵士」は、カンラン石のメダルによって封じられていた記憶が動き出し、
イネスとカッセルの過去が少しずつ姿を現し始める章でした。
2巻全体を通して見ると、ここで描かれていたのは恋愛の進展ではなく、
「白黒だった人生に色が戻り始めること」だったのかもしれません。
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📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO | 第38話相当 |
| めちゃコミ | 第39話相当(推定) |
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
📖 原作小説・漫画(韓国語版)について
管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
- 原作漫画:kakaopage
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