🌹 本記事は『バスティアン』原作をもとに、高解像度あらすじ形式で構成しています。会話部分は原作の表現を引用しています。
※ネタバレ注意:ここから先は、重大なネタバレを含みます。
答えを求めて底まで行ったのに、
知れば知るほど、疑問だけが大きくなっていく。
一体なぜ?
外で終わらせる男が引いた明確な線と、
そのあとで濡れたタオルを運んでくる手の優しさ。
冷たくもあり優しくもある、その眼差しが彼女を混乱させる。
真夜中の粗末な食卓を、彼は「最後の晩餐」と呼んだ。
明日になれば、二人は別れる。
オデットは、一夜限りの恋人に向かって、いつにも増して華やかに微笑んだ。
一体なぜ
バスティアンの眼差しの中で日が沈み、月が昇った。
体を重ね、視線を交わし、口づけをした。
うたた寝をし、また目を覚まし、当然のように再び体を重ねた——本能だけが残った獣に成り下がったような自己嫌悪も、いつの間にか消えていた。
それを認識する理知さえ失ったまま、オデットは押し寄せる欲望に巻き込まれた。
意志とは関係なく開いた唇から、嬌声が漏れ出た。
限界を超えた快感は、もはや苦痛に近かった。
切に懇願して首を振っても、徒労に終わる。
オデットは腕を伸ばしてバスティアンのうなじを抱きしめた。
汗で濡れた髪をかき混ぜながら唇を合わせると、彼は当然のように息を分け与えてくれた。
このあたりで止めたかったが、バスティアンはなおもオデットを追い詰めた。
泥沼のような快感の中で嬌声をあげる自分が、あまりにも見知らぬ存在で恐ろしく、オデットは思わず目を閉じた。
だが、見ていなくても、バスティアンの視線が感じられた。
盲目的な渇望を込めた、冷たい炎のような目。あれほど切望して追い求めた眼差しが、今や恐ろしかった。
完璧な終止符を打つためにすべてを投げ打ったのに、かえって混乱だけが増幅されていく。
——あの頃は本当に、蜃気楼にすぎなかったのだろうか?
辛うじて目を開けると、白金のような月明かりを背にした男の体が見えた。
自分を最も悲惨に踏みにじった行為と変わらないと分かっている。だが、あの絶望的な夜々とは同じではないことも、分かる気がした。
一体なぜ?
疑問の重さに耐えられなくなった刹那、バスティアンは体を引き、彼女の外で最後を迎えた。
オデットは呆然とした目で、獣のように呻く男を見つめた。
汗で濡れた腹の上に流れ出た欲望の残骸は、もう見慣れないものではなかった。
——明確な線。
もしかしたら、これが最も確実な答えなのかもしれない。
濡れたタオル
指一本動かせないほど疲れ果てたオデットは、遠ざかる背中を見守った。
浴室から戻った彼の手にあるものが何を意味するかも、もうよく分かっている。
今さらな羞恥が押し寄せたが、拒む力は残っていなかった。諦めて目を閉じ、その手に身を任せる。
顔からうなじへ、再び胸へ。
慎重に情事の跡を拭う手。
太ももに触れた時に体を縮こまらせると、バスティアンは少し止まってから、低い笑い声とともに震える脚を開かせた。
柔らかな力のこもった温かい手を、オデットはもう拒めなかった。
つるバラの窓を抜けてきた風が、甘い花の香りと、虫やカエルの夏夜の歌を運んでくる。
オデットは、つま先まで降りた濡れタオルが離れてようやく目を開けた。
ベッドの端に腰掛けた男が彼女を見下ろしていた。
露骨な情欲の消えた眼差しは、深く静かで——冷たくもあり優しくもある、まさにオデットを混乱させる、あの目だった。
ようやく掴んだはずの答えが、また遠ざかっていく。
一体なぜ?
恨みがましい問いを投げるように、その腕を掴む。
見つめ合う時間に先に終止符を打ったのは、バスティアンだった。
再びベッドに上がり、向かい合って横になる。
乱れた髪を撫でつけ、くちばしを合わせる鳥のように優しく口づけながら、彼女を抱きしめた。
額、鼻筋、頬、顎——
そっと顔をたどる唇。
夜が更けても、彼からは温かい太陽の匂いがした。
オデットは背中の傷跡を撫でながら、するすると目を閉じた。
九時に、軍用車が
10時を少し過ぎた時間だった。
バスティアンは静かにベッドを離れた。
めちゃくちゃになった寝室をざっと片付け、小花柄の布団をそっとかけてやった。
深く眠り込んだ女は目を覚まさない。——失神、という表現の方が適切かもしれない。
裏庭に出ると、夜になってさらに濃くなった木々の香りが染み込んだ風が吹いてきた。
バスティアンは自分で直した椅子に座り、タバコに火をつけた。
——軍用車が来る約束の時間は午前九時。
この夜が明けて朝が来れば、永遠の別れだった。
「結局、こんな終わりか」
虚しい失笑が、深く吸い込んだ煙とともに吐き出された。
変更があれば知らせるという海軍省からは、いまだに連絡はない。
作戦は計画通り実行される。開戦が避けられなくなったということだ。
予測が外れてほしいと切に願いながら、最悪を想定して対策は立ててある。やむを得ずここを去ることになっても、オデットの安全は守れるように。
それだけで十分だった。
思考を断ち切るようにタバコの火を消したバスティアンは、台所に行き、食べるものを探した。
水と果物、残ったパンとバター。甘いものが好きな彼女のために、チョコレートとキャンディーもいくつか。
——一緒に子どもの胎動を感じた夜の記憶は、電気を消した台所の暗闇に埋めて、背を向けた。
最後の晩餐
「オデット」
名を囁きながら頭を撫でると、小さく身じろぎしたオデットが目を覚ました。
辛うじて体を起こした彼女をベッドの頭にもたれさせて座らせ、水の入ったグラスを差し出した。
「……まだ火曜日ですね」
意識を取り戻した彼女が最初に確認したのは、時間だった。
「あれは何ですか?」
「最後の晩餐」
冗談めかした答えとともに運ばれてきた盆に、オデットの眼差しが沈んだ。
夕食すらまだだった。
素敵な晩餐にしたくて、メニューも買い物も済ませていたのに。
テーブルクロスも、装飾も、着る服まで熟慮して決めておいたのに。
しかも彼は、よりによって最も見栄えのしない皿に、最もみすぼらしい料理を盛ってきた。
ミートパイの残りがあるはずなのに、保存場所を知らず調理台のものだけを手に取ったらしい。
慌てて起き上がろうとするオデットの肩を、バスティアンは断固として抱きとめた。
「もうずいぶん遅い時間です」
「他の料理があるんです。温めるだけだから、早く……」
「いや、オデット。これで十分だ」
布団がずり落ちて露わになった体が、ランプの温かい光に染まる。
バスティアンは目を細め、彼女を見つめた。
その執拗な眼差しの意味に気づいたオデットは、慌てて裸の胸を隠しながら頬を赤らめた。
楽園の晩餐
「それなら、あちらに行きましょう」
オデットが、窓際に置かれたテーブルを指差した。
「そこにあるパジャマを取ってきてくれませんか?」
バスティアンはクスクスと笑いながら、化粧台の椅子に置かれたパジャマを手に取った。
「俺は今の服装が一番気に入っていますが……」
「野蛮人みたいな姿で『最後の晩餐』に参加したくはありません」
「では、一緒に脱いで『楽園の晩餐』と名付けるのはどうです?」
意地の悪い冗談を口にする瞬間にも、バスティアンの声は高低なく淡々としていた。
パジャマを差し出す動作も、落ち着いて抑制されている。
わずかに歪んだ唇に浮かんだ少年のような微笑は、それゆえに一層生き生きと感じられた。
「そんな過剰な配慮は遠慮します」
失笑しながら受け取り、身につけた途端、体が宙に浮いた。
いつの間にかオデットを抱え上げたバスティアンが、窓際のテーブルに向かっていた。
気恥ずかしかったが、拒否の言葉を伝える暇もなくあっという間に目的地に着いた。
オデットを椅子に座らせたバスティアンは、パジャマの裾を整えてくれた。
もしも波乱のない人生を送っていたなら、とても優しい男だったのかもしれない。
——儚い仮定だった。
一夜限りの恋人
「オデット」
優しく囁く名前が、テーブルを越えてくる。
振り向いて目が合うと、彼がにこりと笑った。
この男に夢中になったサンドリンの気持ちが理解できる気がした。
彼女にとっては、常にこのように魅惑的な恋人だったのだろうから。
契約で結ばれ、裏切りと憎悪で互いを台無しにし、恋人となって別れる。
本当に笑ってしまうような話だが、もう引き返す道はない。
だから、最後までこの選択に最善を尽くそうと、オデットは改めて決意した。
悪夢になった哀れな女に施す最後の慈悲だとしても構わない。
この三年間、よく耐えてきたのだから。
たった一日をこれ以上我慢できない理由はない。
髪をきちんと整え、首をすっと立ててバスティアンに向かい合った。
そして、ゆっくりと微笑んだ。
一夜限りの恋人に向かって。
いつにも増して明るく、華やかに。
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