原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第2巻第8章③をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。
「無駄にするのは惜しい。」
カッセルが何度も苛立たしげに呟いた。
馬車はまだ坂道を登っている途中だった。
あらすじ|2巻8章 人魚と兵士 ③
狩りと夕食を終えた帰り道、
馬車の中でイネスはミサの話を切り出した。
カッセルがイネスのために大聖堂のミサをやめ、家族ミサに切り替えていたことを、
バルデム夫人から聞いて初めて知った。
カッセルは一言も言っていなかった。
イネスは言った。
次の週からは大聖堂のミサに行く、と。
カッセルは何度も断った。
君を疲れさせたくない、と。
その間も、カッセルの手はイネスの腕の内側を押していた。
やがて馬車は止まった。
御者はとっくに消えていた。
考察01|「君がそうしていたから」
イネスとカッセルは、カルステラに来てからずっと家族ミサを続けていた。
教区の若い神父を官邸に呼び、使用人たちと一緒に捧げる、簡素な形のミサだ。
それがカッセルの選択だったと、イネスは今日初めて知った。
バルデム夫人から聞いた。
カッセルはカルステラに赴任してからずっと、大聖堂のミサに参列していた。
しかしイネスが来てから、家族ミサに切り替えた。

「君がメンドーサでいつもそうしていたから。」
イネスは、思わず苦笑した。
カッセルは、ただ彼女に合わせていただけだった。
しかし同時に、
カルステラで最も重要な社交の場を、ずっと見逃していたことにも気づいた。
考察02|「君はいつから私をそんなに気遣うようになったんだ」
イネスが大聖堂のミサへ行くと言うたびに、カッセルは繰り返し止めた。
「疲れるようなことはしないでくれ」
「僕は構わない」
カッセルにとって重要なのは、上司たちの評価や社交でなく、
イネスが疲れるかどうかだけだった。
しかしイネスは押し切った。
カルステラの核心はミサだと、ようやく気づいたからだ。
将校たちの令嬢。
若い貴婦人たち。
人脈も噂も、すべてそこへ集まる。
そしてそこは、カッセルが自然に誰かと出会える場所でもあった。
「君はいつから私をそんなに気遣うようになったんだ。」(引用:原作2巻)
不意に核心を突いた言葉だった。
カッセルは時々、意味も分からないまま本質へ触れる。
イネスは動揺を隠したまま、彼の腕を掴んだ。
「私は貴方のことを気にしているわ、カッセル」(引用:原作2巻)
嘘ではなかった。
ただし、
二人が見ている未来はまるで違っていた。
考察03|君しか見ていない
イネスの言葉に、カッセルはぎこちないほど動揺していた。
——「私は貴方のことを気にしているわ」
その一言だけで十分だった。
次の瞬間には、彼はイネスの腕の内側を撫でながら、「そそのかさないでくれ」と呟く。
カッセルにとって、イネスから向けられる好意は、
どんな些細なものであれ、そのまま欲望へ繋がっていた。
馬車が坂道を登る間も、彼の意識はその後の夜から離れない。
——「無駄にするのは惜しい」
苛立たしげに繰り返しながら、腰を引き寄せ、首筋へ顔を埋める。
「ここでは君だけがいくんだ。」(引用:原作2巻)
それは単なる欲望ではない。
カッセルは、イネスと過ごす夜そのものを、惜しむほど大切にしていた。
やがて馬車は止まった。
御者は、とっくに消えていた。
まとめ|噛み合わない二人
イネスは、カッセルを元の世界へ戻そうとしていた。
大聖堂。
若い令嬢たち。
将校夫人たち。
彼がいつか、自分以外の誰かへ向かえるように。
しかしカッセルは逆だった。
イネスが自分を気遣うほど、もっと彼女へ近づこうとした。
だから馬車の中で、二人はあれほど近くにいたのに、
見ている未来はまるで違っていた。
イネスは終わりを準備している。
カッセルは、まだ始まりの途中にいた。
(🌹頑張れ、カッセル)
📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO | 第32話相当(※漫画未配信部分を含む) |
| めちゃコミ | 第33話相当(推定) |
📚この記事を読んだ方へ
▶ 次の話(続き)
→第8章④|苦さの正体
▶ まとめて読みたい方はこちら
→ この結婚はどうせうまくいかない 考察一覧
▶ 作品全体を理解したい方はこちら
→ 完全ガイド
▶ 登場人物を整理したい方はこちら
→ 人物相関図