第15章「人間と獣の時間」15章-③|あらすじ
大司教クイリアコの祈りは長かった。
イサベラが献上した莫大な献金と同じくらい長い祈りだった。
その間中、イネスは目を閉じていた。
カッセルのための祈りを捧げながら——しかし頭の中に流れ込んでくるのは、庭園の回廊で一瞬見た、あの銀髪の横顔だけだった。
急ぐ必要はない。彼はしばらく、あの場所にいるはずだ。
今この瞬間は、ひたすらカッセルだけのための時間でなければならない。
そう繰り返しながら——結局、カッセルへの祈りは一つも形にならなかった。
すべての儀式が終わり、中庭の回廊へ出ると、外の空気が肺に入ってきた。
アナスタシオは、すでにいなかった。
不思議なことに——彼がいなくなったと知った瞬間、ようやく息ができるようになった。
今、必ず手に入れなければならない答え。そして、永遠に逃げ出したい答え。
イネスの頭に、ある光景が浮かんでいた。
若くして息を引き取ろうとしていた瞬間。
カルステラのベッド。
揺れる視界の中に最後に映った、アナスタシオの姿。
そしてその奥に、もっと遠い恐怖が潜んでいた。
カッセルは今、イネスの過去の多くを知っている。
皇太子妃だったこと。エミリアーノと駆け落ちしたこと。
しかしまだ、知らないことがある——かつての結婚生活で、自分が彼にどれほど残酷だったのかという記憶を。
かつての自分が彼に向けて吐き出した言葉たち——その「悪妻」の記憶が蘇り、彼がすべてを知るようになったとき、自分はまともに彼の顔を見ていられるだろうか。
幸せで、笑うなんて。
どれほど厚かましいことだろうか。
それでも今は、まだ言い訳くらいはできる——
イネスは一瞬、自らの思考の果てまで辿り着いてから、嘘のように冷え切った頭で戻ってきた。
当然、使徒に答えを求めなければならない。
カッセルのためにも。
謁見室を出るやいなや、フアナが名前を突き止めていた。
パドレ・ニバルド。
ミセレ小教区の神父。
イサベラにもその名前が聞こえ、場はわずかにざわつく。
イサベラは直接挨拶に向かおうとするが、イネスはそれを受け流し、話題をそらす。
来週は自ら訪問し、寄付も自身で行う旨を伝える。
そう言いながら、中指のルビーの指輪を外し、フアナの手に握らせた。
馬車へ向かいながら、イサベラがふと話す。
夫フアンの体調のこと。
展覧会の夜以来、何かを隠しているようだということ。
イサベラの言葉が、ある遠い記憶を引き出した。
「展覧会の夜以来、フアンが何かを隠している」(引用:原作6巻15章)
その一言が、イネスの頭の中で別の記憶と重なった。
かつて、エスカランテ公爵は突然死で発見された。
その死を語るオスカルの顔は、あまりにも無表情で、異質だった。
あの時も、彼は「運命」を語っていた。
ふと、イネスの目が開いた。
今の彼が、「あの時」を語る。
まるで、そこからさらに遡った記憶を持つ者のように。
風がドレスの裾を揺らして通り過ぎる。
イネスの視線は、通り過ぎた建物の窓辺へと向けられるが、そこには誰もいない。
そのとき、忘れていた記憶がよみがえる。
彼はすでに以前、運命通りに死んでいたという事実。
そして、自分がおじを殺したわけではないと証言してほしいという言葉。
イネスは、祝福の指揮棒が収められた箱を強く握りしめる。
角を掴む手は、白くなるほど力がこもっていた。
『神と風は私たちの味方。』——神は本当に、私たちの味方なのだろうか。
(引用:原作6巻15章より)
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📖「6巻の読み方はこちら」
→6巻以降の読み方ガイド
※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。
📕 第15章まとめはこちら
→ 出征前夜までの全展開を整理(ネタバレ)
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
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・comico
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