この結婚はどうせうまくいかない 原作7巻第16章-㉙あらすじ|死体というものが意味を持たない海【ネタバレ】

この結婚はどうせうまくいかない 原作7巻第16章-㉙あらすじ|死体というものが意味を持たない海 この結婚はどうせうまくいかない

🌹 本記事は、『この結婚はどうせうまくいかない』原作第7巻・第16-2章をもとに、高解像度あらすじ形式で構成しています。
会話部分や必要な箇所では、原作の表現を引用しています。
ネタバレ注意:ここから先は、重大なネタバレを含みます。

第16章「川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない㉙

家族室へ向かう廊下を、イネスは奇妙なほど冷静に歩いていた。

その一方で、何一つ現実味がなかった。

「大丈夫。支えはいらないわ」
「だから私が、一人では歩けないみたいに扱う必要なんて——。」

まるで、本当にカッセルが死んでしまったみたいじゃないか——自分が何を言っているのか、イネス自身よく分からなかった。

ホセの足

部屋の中には、血の気を失ったフアンとイサベラが座っていた。

——久しぶりに見るホセの姿。

ホセ。
ホセ・アルメナーラ。

カルステラで過ごした、あの日々の欠片が思い出され、思わず口元が緩む。

昔のように、「久しぶり」と笑って挨拶しようとした。
けれど、どうしても言葉が出てこなかった。

「セニョーラ・エスカランテ」

かつては逞しかった身体は、ひと回り痩せていた。
やつれた顔。
生気を失った瞳。

その奥に宿る、深い同情。

そして、彼女の目をまともに見つめることすらできないほどの痛ましい憐れみ。
少し丸まった大きな背中は、昔の彼とはまるで別人だった。

そこでようやくイネスは気づく。
ホセだけが、ソファに座っていなかった。

「……ホセ。足は、どうなさったのですか?」

「ラス・サンディアゴ上陸前の海戦で銃創を負いまして……少し運が悪かっただけです」

木製の車椅子に腰掛けたホセは、まるで他人のことでも話すように淡々と答える。
おそらく一生このままだろうと。

「レアには、本当に気の毒な思いをさせてしまいました」

その姿だけで十分だった。

イネスはようやく悟る。

何もかも、本当なのだと。

大丈夫だ、イネス

ふらついたイネスを、ミゲルが支えた。

「大丈夫よ。ミゲル……大丈夫だから……」

「イネス。君は、全然大丈夫じゃない」

その声は、涙で震えていた。
イサベラがイネスを抱き寄せ、しばらく何も言わず、その身体を抱き締め続けた。

「大丈夫。大丈夫よ、イネス。
あなたも、子どもたちも、私たちも大丈夫よ。私たちが必ず、あなたを守るから」

その慈しみに満ちた言葉に、胸の奥が熱くなる。

——それでも

最後まで、涙は流れなかった。

最後の戦い

ホセが静かに語り始めた。

最後の戦いは、ちょうどヴィダ・ヌエバの前夜——三週間前のことだった。

カッセルは敵船へ乗り込み、次々と海賊を倒した。
最後に対峙したのは、大領主オルランド。

片腕を失ってなお「生ける伝説」と恐れられた男だった。

それでも戦いは終始カッセルが優勢だった。
誰の目にも、その勝利は疑いようがなかった。

——最後のあの瞬間までは。

オルランドとの死闘

「オルランドは胸、腕、そして腹を次々と大佐殿の剣に貫かれました。
残された片腕までもが使い物にならなくなったその瞬間、彼の命は尽きたも同然でございました」

……しかし、最後の瞬間。

オルランドはカッセルの剣の刃を自ら掴み、自害するかのように、
自らの腹をさらに深く貫きながら突進し、カッセルを船縁へと突き飛ばした。

「そして、自らの手首を貫いていた大佐殿の指揮棒を、そのまま大佐殿の肩へと突き刺しました」

イサベラが低い悲鳴を漏らした。
イネスの視界の端に、震え続ける義母の姿が辛うじて映る。

「私が……私が贈ったのよ……」

「あの指揮棒を……」

「大司教の祝福まで受けたものを……」

イネスは何とか手を伸ばし、イサベラを支えようとした。
しかし、実際には指一本思うように動かすことができなかった。

海へ

「——二人はそのまま海へ落ちました。」

落ちる直前まで、船縁にぶら下がったまま死闘が続いていた。

一瞬、カッセルがオルランドを振り払えるかにも見えたその刹那、焦った味方が放った銃弾がオルランドの頭を貫いた。
力を失って崩れ落ちたオルランドの死体の重みで、そのまま二人とも海へ引きずり込まれたのだと。

オルランドは二メートルにも及ぶ巨躯だった。
しかも、彼の手首を貫いていた指揮棒は、そのままカッセルの肩までも貫いていた。

落下するその瞬間、オルランドの全身が、カッセルの肩へぶら下がるような格好になっていた——。

フアンが、喉を締めつけられたような声で問いかけた。

「私の息子の死体は? カルステラにあるのか?」

ホセはゆっくりと首を横へ振った。

死体というものが意味を持たない海

イサベラがホセの前まで駆け寄った。

「……それなら、どうして言い切れるの! カッセルが死んだなんて、どうしてそんなことが分かるの……! 死体も見つかっていないのでしょう?」

「……誰もが、大佐殿が海へ沈んでいく姿を、この目で見届けたからです」

その一帯は、屈強な男が五体満足で落ちても決して抜け出せない極悪な潮流だった。
海底はイカリすら届かぬほど深く、
肩にはあの巨躯の死体がぶら下がったままだった。

——遺族に対しては、事実をそのまま伝えること。
それだけがオルテガ海軍の慣例だった。

ホセ自身、今にも倒れそうな表情のまま、しばらく言葉を切った。

その直後から、周辺の捜索が続いた。
やがて、カッセルの作戦どおり諸島の後方で敵艦をすべて沈めた艦隊も合流し、諸島全域を捜索した。

——そうして、四日が過ぎました。

「あそこは……死体というものが意味を持たない海なのです、公爵夫人」

イサベラがホセの足元へ崩れ落ちた。
ミゲルが母を抱き上げ、部屋を出て行った。

イネスは、涙を流せないまま、そこに座っていた。

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※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。

📖 作品情報・配信プラットフォーム

  • 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
  • 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
  • 原作: CHACHA KIM
  • 脚色: CHOKAM
  • 作画: Cheong-gwa

【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
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