🌹 本記事は、『この結婚はどうせうまくいかない』原作第7巻・終章をもとに、高解像度あらすじ形式で構成しています。
会話部分や必要な箇所では、原作の表現を引用しています。
※ネタバレ注意:ここから先は、重大なネタバレを含みます。
※地名・人名について:本作には現時点で原作小説の公式日本語翻訳版がないため、地名・人名などの固有名詞は原文をもとに当サイトで日本語表記しています。今後、公式日本語版で異なる表記が採用される可能性があります。
終章|風はかつて吹いていた場所へと帰っていく 06
カッセルが艦隊へ戻った。
理不尽な八つ当たりを浴びせられてもなお嬉しそうな副官マウリシオ、沸き起こる甲板の歓声。
だが、机の引き出しを次々と開けていたカッセルの手が、ふいに虚空で止まる。
ひと抱えほどに積み上がっていた、あの手紙の束はどこへ消えたのか。
「まったく、勘の鈍い奴だ」
戦列艦が停泊できないほど浅い海岸だったため、マウリシオは数隻の小舟を引き連れてやってきた。ようやく姿を現した彼は、少々みすぼらしい有り様だった。
「私は、何もかも嘘なのではないかと思っておりました。大佐が本当に生きていらっしゃるとは……」
「嘘だと思ったのなら、なぜ来た。自分の判断ひとつ信じられんのか」
結果としてその判断に救われたことなど、カッセルには関係なかった。
私の代理を務める人間なら、その程度の判断は自分で下せ——そういう叱責だった。
マウリシオの顔が、思わず悔しさに歪む。
それでも、万が一と思ったのだと。
ラ・マンチャの奴が持ち込んだ無茶苦茶な話でも、
一度くらい信じてみたいと思うほど切実だったのだと弁明する。
要するに、それほどカッセルが生きているとは思えなかったという意味である。
「本当に切実なら、信じるかどうか天秤にかけたりせず、もっと早く来ただろう。
こんなに遅く、のろのろ這って来やがって。忌々しい……これも全部、マウリシオ、お前のせいだ」
「ですが、盗賊どもの言葉を簡単に信じるわけにも……」
「まったく、勘の鈍い奴だ」
信じるなと言ったかと思えば、自分の判断を信じられずに来たことを責める。
かと思えば今度は、よくも自分の生死を天秤にかけたなと怒り出す。
どう考えても理不尽だった。
それでもマウリシオは、
上官の八つ当たりさえ嬉しくてたまらないとでもいうような顔をしていた。
「はい。私には勘がございません」
プライドも何もない返事だった。
その間、水兵たちは、この世のあらゆる冤罪を一身に背負わされたかのように騒ぎ立てる海賊たちを一隻の小舟へ押し込み、取り調べと威嚇を始めていた。
カッセルは彼らを尻目に、誰よりも先に旗艦へと乗り込んだ。
乗り込む前から、甲板の上では歓声が沸き起こっていた。
遺品として整理され
ラ・マンチャ人どもは大佐を保護していると言い張りながら、居場所すら明かさず、ただ南へ来いと言うばかりで怪しかった——マウリシオはそう報告する。
それは、奴らが詐欺師だったからだ。
もっとも、騙そうとしていた相手はオルテガではなく、自分たちの同族だったのだが。
「それで、使者は送ったのか。送っていないのか」
「軽率に知らせるわけにはいかないではありませんか。ただでさえメンドーサがあのような状況です。それなのにエスカランテ家に再び希望を持たせて、結局また打ち砕くようなことになれば……」
カッセルはろくに聞きもせず、内心で『鈍い奴め』と罵っていたが、
不意に何かを思い出したように手を上げた。
「待て。まだ使者を送るな」
「はい? ……はい」
「待て……。せめて短くてもいい。手紙を……イネスに手紙を書かなければ」
旗艦へ戻った時の、あれほど堂々として泰然自若としていた姿はどこへ行ったのか。
突然狼狽し、どうすればいいのか分からないとでもいうように落ち着きを失う。
その動揺ぶりさえ荒々しく、マウリシオは思わず少し距離を取って頷いた。
カッセルは自分の机へ向かい、何かを探すように引き出しを次々と開けていった。
やがて、その手が虚空で止まる。
「どこへいった?」
マウリシオには、それだけですぐに分かった。
上官が探しているのは、
ひと抱えほどの高さにまで積み上がっていた、あの手紙の束だ——。
「……あの、遺品として整理され、メンドーサにいらっしゃるエスカランテ夫人のもとへ……」
カッセルは、喉でも締めつけられたような顔になった。
「何……?」
「慣例に従い、ホセが私に代わって直接メンドーサまで届けに向かいました」
「……遺品……。妊娠している妻に、夫の遺品を渡したのか……」
では、妻へ宛てた手紙を他の誰に渡せというのか。
自分でも言いがかりだとは分かっていた。 分かってはいても、理屈が通っているからといって絶望せずにいられるわけではない。
罪悪感に呑み込まれそうになる意識をどうにか繋ぎ止め、カッセルはようやく声を絞り出した。
「それは、いつのことだ」
「……もうメンドーサへ到着してから、かなり経っているはずです」
マウリシオは、ホセがいつ出発したのかを説明し、そこから到着日を計算させるようなことはしなかった。ただ、必要な事実だけを簡潔に告げた。
カッセルはしばらく黙り込んだ。
そして、急いでペンを握った。
私の命、私の太陽、私の空
イネス。私の命、私の太陽、私の空――つまり、私の世界にある、あらゆる偉大で美しいものへ。
一刻も早くこの手紙が君のもとへ届くことを願い、急いで筆を執っている。
どうか、この罪人からの手紙を受け取ってほしい。すでに私の戦死通知を受け取っているだろうことは分かっている。
だが、それには少しばかり誤りがあった。私は生きている。
そして今、無事に艦隊へ戻ったところだ。
必要な治療も十分受けた。多少の怪我は負ったが、少なくとも命にかかわるような傷はない。
神が私のような愚か者を守ってくださったのは、ひとえに君の祈りのおかげだ。ただ、私の戦死を知らされた君が、どれほどの衝撃を受けただろうと思うと胸が痛む。
どうか君に何ひとつ悪いことが起きていないようにと、そればかりを祈っている。私はもうすぐ帰れそうだ。
君と子供たちに会える日が、本当に待ち遠しい。ガンベラ沿岸にて カッセル・エスカランテ・デ・エスポーサ
続けて、カッセルは母にも手紙を書いた。
誤った知らせのせいで、お体やお心をひどく痛めていないことを願っている。
自分は生きていること。
息子が戻るまで、どうかご自愛いただきたいこと。
——できれば時折、イネスと子供たちのことも気にかけてやってください。
イサベラがこれを受け取れば、息子の生存を喜んで泣きながらも、イネス宛てとのあまりの熱量の差に、呆れて笑ってしまうに違いなかった。
この間、メンドーサでは何もなかったか?
二通の手紙はすぐに封をされ、それだけを載せた帆船が出航するまで、すべてが瞬く間に進んだ。
カッセルが誰の言葉にも耳を貸さなかったため、周囲には止める暇さえなかった。
彼は後甲板に立ち、自分たちが北西へ向かうのとは正反対の方向へ進んでいく帆船を見つめていた。
その姿が水平線の彼方へ消えてから、ようやく何かを思い出したように尋ねる。
「この間、メンドーサでは何もなかったか?」
「あ……」
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この結婚はどうせうまくいかない 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
日本語版漫画
韓国語版(原作)
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