この結婚はどうせうまくいかない 原作7巻第16章-⑫あらすじ|オスカルの愛と、大義名分【ネタバレ】

この結婚はどうせうまくいかない

オスカルの腕に引き寄せられた。

不快なほどに馴染みきった感覚。
いまだそのおぞましさが自分に馴染んでいるという自覚こそ、
ついにこのすべての因縁を断ち切る瞬間が訪れたのだという事実を、イネスに悟らせた。

——「会いたかった。会いたかったよ、イネス。だけど信じてくれ。絶対にこんな形では……」

まるでその「愛」のためなら、
世界の何だってできると言わんばかりに。


ネタバレ注意
ここから先は、重大なネタバレを含みます。

第16章「川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない」⑫|あらすじ

※原作では「第16章-2 川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない」に該当。

出口

苦痛に耐えながら、イネスは考えていた。

アリシアが流し込んだ薬は、快感どころか刃物で肉を抉り取られるような苦痛しか与えない。
少なくとも、屈辱的な快楽に共に巻き込まれる事態にはならないだろう。

しかし、オスカルの手が、大きくなったお腹に触れる前に完全に引き離さなければならない。
彼が子どもたちの存在に気づく前に。

薄れていた視界の中で、
記憶とまったく同じ壁の装飾を凝視した。

カルデロン提督が海賊から収穫した戦利品。
名を残した略奪者たちの武具。

出口は、そこにあった。

時間稼ぎ

イネスは従順そうな表情を繕いながら、苦痛に耐え続けた。
オスカルはなおも愛を語り続けた。

この結婚はどうせうまくいかない イネスに懇願するオスカル

彼にとってイネスは執着であり、救いであり、人生そのものだった。

そしてその執着は、
ダンテ・イハルとアリシア・イハルへの呪詛となって現れる。

「僕にとっては君が唯一無二だった。
君をほんのしばらく傷つけた日々は、すべて過ちだったんだ」

「僕を失脚させたダンテ・イハルの陰謀だった。
僕たちを壊そうとしたアリシア・イハルの術策だったんだ」

「イネス、僕のイネス……」 (引用:原作7巻)

だがイネスの心は動かなかった。

むしろ彼が愛を語れば語るほど、状況は整理されていった。

主犯はアリシア。
オスカルは子供たちの存在に気づいていない。
そして、この男は今も自分を傷つけられない。

必要な情報は十分だった。
壁には、記憶と同じ武具が掛かっていた。

足りなかった最後の一手が、ようやく揃った。

オスカルを逆用する

オスカルはなおも哀願を続けた。

「君はいつでも、僕のたった一人の妻だ」
「人生が何度繰り返されようとも、唯一愛した女なんだ」(引用:原作7巻)

イネスは適度に調整した軽蔑と、不信感を露わにしながら、
壁の武具まで到達するのにどれほどの時間が必要かを計算した。

「……オスカル、本当にあなたではないのですか?
(-中略-)それなのに興奮しているのですね。
私を困らせるようなことはしないと言ったくせに」

「君でなければ……絶対にこうはならない。
薬をいくら飲み込んでも、君でなければ……」

オスカルが「僕を信じてくれ」と哀願するほど、隙が生まれる。

イネスはそれを待った。

やがて全力を振り絞り、目の前で狼狽していたオスカルを突き飛ばすと、
海賊の武具が掛けられた壁へと走った。

大義名分

オスカルがベッドから転げ落ちるように立ち上がった、その瞬間だった。

イネスは短刀を掴み取ると、
躊躇なく自らの左腕を長く切り裂いた。

「これで、ヴァレスティナについに大義名分ができました」
(引用:原作7巻)

血が流れ落ちた。

オスカルは顔面蒼白になった。

——「イネス、お願いだ。頼むから……」

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※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。

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