原作5巻14-17【ネタバレ考察】この結婚はどうせうまくいかない|エスカランテの試練と揺らぐ決意

この結婚はどうせうまくいかない

本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。

名門公爵家を揺るがす「苦渋の選択」

今回は、エスカランテ公爵家を襲う、緊迫した晩餐会の様子をお届けします。

ミゲルの回復を祝い、久しぶりに揃った家族の食卓。
しかし、そこで語られた「取引」が、一瞬にして平和を過酷な試練へと変えました。

弟の自傷を止めるために割れたガラスを素手で掴み、そして「死地」への出征を淡々と受け入れているカッセル。

彼の危ういほどに真っ直ぐな高潔さは、傍で見守る者にとって、これほどまでに切なく、そして残酷なものはありません。

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今回のあらすじ|変質していく「戦争」とカッセルの選択

ミゲルの快気祝いとして開かれた晩餐会で、公爵はミゲルに対し「皇女ドロレスとの縁談」を命じます。

それは、皇帝の疑念を晴らし、長男カッセルを死の危険がある戦場から遠ざけるための、父としての苦渋の「取引」でした。

亡き婚約者ビビアナを想い、狂乱するミゲル。

自傷行為に走る弟を制止するため、カッセルは素手でガラスの破片を受け止め、腕を大きく負傷します。

荒れ狂う嵐のような惨状の中、カッセルは冷徹に言い放ちます。

弟を取引の道具にする必要はない、自分は軍人としての職務通りに出征するだけだと。

そのあまりにも「忠実」な背中を見て、イネスは耐えきれず背を向けるのでした。

ロゼの考察:変質していく「戦争」とカッセルの選択

今回のエピソードで最も戦慄するのは、イネスが感じ取った「運命の変質」です。

以前とは違う「戻れぬ道」

公爵がミゲルとの縁談という「取引」をしてまでカッセルを遠ざけようとしたのは、今の戦地が「生きて戻ることさえ困難な、ただ命を削り取るためだけの場所」だと見抜いていたからです。
カッセルはそれを知りながらも、弟を救うために自らその役割を担おうとします。

この戦争は、以前と同じだが明らかに何かが違っていた。 大きくは戦争の因果も、小さくは参戦のきっかけも、すべて違うだろう。(小説第5巻より)

イネスは確信します。
以前の人生とは何かが違う。
カッセルの向かおうとしている場所は、以前よりもずっと、取り返しのつかない悪意に満ちているのだと。

負傷してもなおイネスを気遣う「高潔な精神」

ミゲルの刃を腕で受け、傷ついたままで、カッセルはイネスに視線を向けます。

父親に向けられていた断固とした視線が、イネスに触れると一瞬曇った。
自分で止血していた腕を、今さら隠すように下ろす様子に呆れた。
(小説第5巻より)

自分の怪我よりも、彼女に惨状を見せたこと、彼女を不安にさせたことを案じるカッセル。
この状況でさえ彼女を「守る対象」として扱うカッセルの愛が、今のイネスにはあまりにも尊く耐え難いものだったことでしょう。

管理人:ロゼ
管理人:ロゼ

「いくらで僕を売ることにしたんですか?」というミゲルの言葉が突き刺さります。
家族を守るための取引と、それを拒んで自ら死地へ向かおうとする高潔な長男。
エスカランテ家という巨大な船が、荒波の中で傷つきながらも進もうとする、逃げ場のない息苦しさを感じる回でした。

「お前は何もする必要はない。
僕が僕の職務通りに出征すればいいだけだから。」

ミゲル・エスカランテ
ミゲル・エスカランテ

「あの子(ビビアナ)を、もう一度返してください。何も違うことなく、生きている、全く同じビビを僕にください。」

まとめ|背を向けたイネスの絶望

ダイニングルームを飛び出したイネス。
彼女の後ろでドアが閉まる瞬間まで、カッセルの視線は彼女を追っていました。

カッセルは、自分が進む道がどれほど過酷であるかを知りながら、それでもイネスを残して発とうとしています。
「知っていること」は、イネスの重荷を少しも軽くしてはくれません。

変質してしまったこの運命に、彼女はどう立ち向かうのか。

次回、イネスはどのような決断をするのでしょうか。

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