原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第2巻第7章⑥をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。
カッセルが監視させているなら、こちらも監視する。
ラウルの密告を好機と判断したイネスが、初めて自分から動こうとする夜。
しかし絵の中の湖の波紋を見つめていたイネスは、
計算だけをしていたわけではなかった。
📖この記事の位置づけ
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あらすじ|人にだけ優しい犬もいる⑥
パーティーの翌日、ラウルはイネスのもとへ報告に来た。
カッセルがイネスを監視させている。
その事実を告げ、好機かもしれないと付け加えた。
イネスはしばらく、夢の中にいるようだった。
マルタレーナが急いで送ってきた絵を眺めながら、ラウルの言葉を遠くで聞いていた。
やがて口を開いた。
みんな騙して生きている。
妻も夫も、しまいには自分自身さえも。
カッセルが特別なわけではない、と。

「しかし、イネス様はそうではなかったでしょう。」
ラウルの表情が変わった。
あの頃を暗黙のうちに語る時、彼はいつもああなる。
今にも舌を噛み切って死にそうな顔で、
それでもどうにか耐えて生きている、生存者の表情だった。

「私はどうせまともな精神状態ではなかったじゃない」
イネスは笑みを浮かべた。
ラウルは笑わなかった。
全部壊れた人間を必死に生かした4年間。その記憶が、彼の忠誠心の根にあった。
やがてイネスは言った。

「あなたもカッセルを監視してちょうだい。」
考察01|好機と判断した
ラウルの密告は、イネスにとって脅威ではなかった。
カッセルが監視させているという事実よりも、その事実が使えるという判断の方が先に来た。
向こうから先に始めたのなら、こちらも使う。
それだけのことだった。
待つ側から動く側へ。
この一言でイネスの立場が変わった。
ラウルが意気消沈していたことも、計算の内側にあった。
沈んだ犬には仕事を与えればいい。
玩具を投げれば走る。
それがラウルだとイネスは知っていた。
好機を掴む判断と、人を動かす判断が同時に働く、イネスらしい決断だった。
ラウルは、密告のついでにさらに続けます。
「下半身をもっとよく管理してくださっていれば……という残念な気持ちが少し残っています。」(引用:原作2巻)
しかし、気に入らないけれど、私が目をつぶりさえすれば、性格も悪くはないですし、と着地した。
忠誠心と本音が同居する、ラウルらしい一言だった。
考察02|湖の波紋
イネスはマルタレーナの絵を見ていた。
ラウルが密告を続ける間も、
視線は絵の中の湖の波紋に落ちたまま動かない。
「十六歳から二十歳。ただ、イネスにとっては、エミリアーノと暮らしていた頃の影のような時間だっただけ。」(引用:原作2巻)
夢の中にいるような顔で、
マルタレーナの絵を見つめるイネスの瞳は、何を映していたのだろうか。
考察03|イネスの致命的な誤認
ラウルが言った。
カッセルが皇太子の側近になれば、この生活は終わるだろうと。
イネスはその言葉を反芻する。
そうだ。もうすぐ終わるはずだった。せいぜい数年。
それがイネスの設計だった。
カッセルは結婚してから少しおかしくなった。
だから、いずれ正気に戻る。
イネスは本気でそう思っていた。
今起きているすべてを、一時的な異常だと。
メンドーサで派手な女性関係を見せつけていた男が、
今だけ少しおかしくなっている。
それだけのことだ。
まとめ|動き出した計算者
この夜、イネスは待つことをやめた。
カッセルが監視させているなら、こちらも監視する。
向こうが先に始めたゲームなら、こちらもそれを利用する。
それだけのことだった。
絵の中の波紋の中に何を見ていたのか。
カッセルの執着が「正気に戻る」その日を、イネスは本当に待っているだけなのか。
その答えはまだ出ない。
(🌹 頑張れ、カッセル)
📚この記事を読んだ方へ
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📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO | 第31話相当 |
| めちゃコミ | 第32話相当(推定) |