この結婚はどうせうまくいかない 原作3巻8章⑰|なぜカッセルまで【ネタバレ】

この結婚はどうせうまくいかない 原作3巻8章⑰|なぜカッセルまで この結婚はどうせうまくいかない

原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第3巻第8章⑰をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。


カッセルが知っているのは、
妻がある夜、息ができなくなって倒れたということだけだった。

それだけのことで、彼は泣いた。

📖この記事の読み方
本記事はネタバレを含む考察記事です。

・作品全体を整理したい方はこちら
▶ 完全ガイド
▶ 人物相関図まとめ

あらすじ|人魚と兵士 ⑰

あの夜の経緯をカッセルに話したラウルを、イネスが問い詰める。

しかし、ラウルは譲らない。
ご夫君は知るべきだと。

二人は噛み合わないまま言葉を重ねる。

話の中でイネスは自分の過去——自傷、精神病と呼ばれた四年間、公爵が使った金——を欠陥の目録として並べてみせる。

ラウルが顔を歪める間も、イネスの声は変わらない。

そして最後に告げる。

カッセルが逃げることを恐れているのではなく、
同情したまま身動きが取れなくなることを恐れているのだと。

ラウルが話したのはごく一部だった

ラウルがカッセルに伝えたのは、
過呼吸の発作と、深刻な不眠があった時期があったということだけだ。

自傷のこと、精神病と呼ばれた四年間については何も話していない。

それなのに、
——『君が死ぬかと思ったんだぞ、イネス』

イネスはその言葉を、頭の中に抱えていた。

ラウルに向かって怒りながら、あの夜のカッセルの顔が頭から消えない。
彼は何も知らないのに、既にあんなにも心を砕いていた。

「なぜカッセルまで」

イネスの声色が変わった。

「カッセルはあの四年間とは少しも関係のない人間なのよ」(引用:原作3巻)

ラウルへの怒りは、秘密を話されたことへの怒りではなかった。

なぜそんなことをしたのか。
なぜ、また私のためを思ったのか。

なぜ、あのこととは何の関係もないカッセル・エスカランテまで、
勝手に私の手の内に入れてしまったのか。

イネスの中で、カッセルだけは違った。

あの四年間——刃物と、息のできない夜、精神病という言葉——
ラウルもフアナも、あの地獄を知っている。

けれどカッセルだけは、
あの四年とは何の関係もない場所にいなければならなかった。

それが、もはやそうではなくなり始めている。

一瞬、怒りが頭を食い破りそうになる。
喉が締め付けられた。

それでも奥歯を噛み締めて、息を飲み込む——この状態をラウルは「あの時」の前兆だと思うかもしれない。

その疑念が彼女を引き戻した。

欠陥を並べる声に感情はなかった

四年間、自分の体に刃物を突き立てた。
その傷跡をきれいに消し去るために父が使ったお金。
精神病と呼ばれた記録。

イネスはそれを淡々と並べる。

ラウルが顔をぐしゃぐしゃにする。

イネスのこの冷静さがどこから来るのかを、ラウルは知っていた。
だから余計に耐えられない。

カッセルはまだ何も知らない。
それでも彼は泣いていた。

もし全部知ってしまったら——イネスはそこから先を考えたくはなかった。

なぜそんな目で私を見るの

「カッセルがめちゃくちゃな私に同情したまま、身動きが取れなくなってしまうのではないかと恐れているのよ。貴方みたいに……」(引用:原作3巻)

ラウルはずっとそうだった。

イネスが恐れているのは、捨てられることではない。
同情によって縛られた人間が、もう一人増えることだ。

そしてその相手が、カッセル・エスカランテであることだ。

カッセルはまだ何も知らない。
それなのに。

——『君が死ぬかと思ったんだぞ、イネス』

そう言ってひどく泣いていた。

だからイネスには分からなかった。

なぜそんな表情で。
なぜそんな目で。

自分を見つめさせるようなことになってしまったのか。

🌹 更新情報は @koyakoya0515 でもお知らせしています

📚関連記事

▶ 原作2巻総括|白黒だった人生に色が戻り始める

8章「人魚と兵士」は、カンラン石のメダルによって封じられていた記憶が動き出し、
イネスとカッセルの過去が少しずつ姿を現し始める章でした。

2巻全体を通して見ると、ここで描かれていたのは恋愛の進展ではなく、
「白黒だった人生に色が戻り始めること」だったのかもしれません。


▶ まとめて読みたい方はこちら
→ この結婚はどうせうまくいかない 考察一覧

▶ 作品全体を理解したい方はこちら
→ 完全ガイド

▶ 登場人物を整理したい方はこちら
→ 人物相関図

📖 今回のエピソード対象範囲

プラットフォーム対象話数
ピッコマ・LINE漫画・COMICO第38話相当
めちゃコミ第39話相当(推定)

この作品が好きな方におすすめ

K-NOVEL FAN BOOKSHELF この結婚はどうせうまくいかない 本棚ページを見る
PR
ピエール・エルメ・パリ