この結婚はどうせうまくいかない 原作3巻8章⑲|あと一日だけ【ネタバレ】

この結婚はどうせうまくいかない 原作3巻8章⑲|あと一日だけ この結婚はどうせうまくいかない

原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第3巻第8章⑲をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。


今日もまた、
聖書の筆写に没頭する夜が続いていた。

単純な労働ほど、雑念を忘れさせてくれるものはない。

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あらすじ|人魚と兵士 ⑲

イネスは日中わざと人と会い、
夕暮れになると書斎に引きこもる日々を繰り返していた。

かつてはカッセルと共に過ごした夜の時間を、
今は一人で逃げている。

カッセルは何も追及せず、何も変えない。
それでもイネスは怯えた獣のように退路を探し続けていた。

やがてカッセルが書斎に現れ、彼女の筆写のために用意した文鎮を差し出す。

彼女が距離を取ろうとしていることに気づいているのかいないのか、
彼はただ静かに気遣い、寝室へと連れて行く。

毎日同じように、書斎に逃げ込んでいた

日中は人に会い、夕暮れになると書斎にこもる。
毎日そうやって過ぎていった。

少し前まではカッセルと過ごしていた時間だった。

それぞれがワインと、水を飲み、
彼が窓辺で葉巻をくゆらせる横で、彼女は紀行文を読んでいた。

ただ近い場所を共有するだけの夕べ。

それより前には食卓で他愛のない話をし、
もっと遅くには互いの体を絡めた。

波が満ちては引くように、
その全てが繰り返されていた。

安住してはいけなかった

四肢の力を抜けば、水面に浮かぶように、
イネスはしばらくその穏やかさに浮かんでいた。

今思えば、あの安らかさは自分には過ぎたものだった。

もがけばもがくほど、また水中に引きずり込まれる。
一時の安定を、自分は錯覚していただけだった。

絶対に、あんなふうに安住してはいけなかったのに。

何もしてこない夫から、なぜ逃げるのか

カッセルが気づいていたとしても、いなかったとしても、
彼は何もしなかった。

追いかけてくることもないし、彼女をどうこうすることもない。

彼の側からは何も変わらない。

それなのに、彼女だけが逃げ場を探していた。
完全に逃げ切れないと知りながら。

今ここで引き返せば、もう何も残らないと知りながら。

あと一日だけ。ここで、あと一日だけ。

そうやって積み重なった先延ばしが、今日まで続いていた。

彼が当然のように思っている自分の姿

彼女にとってカッセルが当然であるように、
カッセルにとっても当然のようにそこに彼女がいる。

イネスは耐えられなかった。

——彼が当然だと思っている自分のどんな姿も、実は全く嘘ではないかもしれないという事実。
——その可能性に。

一時的なものだと思っていられた間は、まだよかった。
こうしている方が自然だ、という考え一つさえあれば、少し滑稽で済んだ。

しかし

今は少しも、おかしくなかった。

死んだウサギが入っているかもしれない

あの日、善良な涙がぽたぽたと落ちてきたとき、
胸の奥がひやりとした。

これ以上知りたくなかった。
半分包装紙が剥がれたプレゼントの中に、
死んだウサギの死骸が入っているのではないかと疑うような気分。

全部、そこに置いたまま立ち去ってしまいたかった。

それなのに、何度もカッセルが泣いていたことを思い出す。

死にかけた小さな動物を部屋に一人残して、
卑怯にも逃げ出すような感覚が追いかけてくる。

想像は、想像ではなく……

ペン先に力を込め直したとき、後ろから腕が伸びて文鎮を置いた。

「もう休むんだ、イネス」

ガラスと象牙でできた文鎮。
この書斎には、これまで小物の類が何もなかった。
カッセル・エスカランテは書斎と縁のない人だと、誰かが言っていたのは嘘ではなかった。

「君が最近、筆写をたくさんしているから」

その一言に、イネスは止まる。

知らないところで、彼は見ていた。
彼女が静かに筆写する姿を、何度も。
想像は、おそらく想像ではないのだろう。

彼は彼女に気を遣わせないために、すべての神経を注いでいたから。
カッセルは機会さえあれば、自分にできるすべての配慮を尽くした。

「それで今日、これを見て君を思い出したんだ」

彼はイネスが自分を避けているなどとは、欠片も想像していないかのように、
ひどく純粋にそう言った。

寝室まで運ばれながら

「気に入った?」

「……それなりにね」

生ぬるい返事に、彼はそれでも満足げに微笑んだ。

立ち上がるよう促し、抵抗するイネスをいとも簡単に抱き上げる。

性欲とは無縁の、丁寧すぎる手つきだった。

「私にはちゃんと動く脚があるわ」

「知ってるさ。すごく綺麗なものがね」

軽口を交わしながら、彼女は運ばれていく。

あちこちにインクのついた手を、カッセルが丁寧に洗う。
前日のようにすぐベッドを抜け出させないための、明らかな口実だった。

「こんなことまでしなくていいわ。あなたは召使いじゃないんだから……。」

「召使いにこんなことをさせたら、その男を殺すだろう」
(引用:原作7巻)

優しい声で、唐突に嫉妬が漏れる。

指先を擦る手つきは、ひどく慎重だった。

彼女が唯一耐え抜けたもの

「君はもっと良い医者に会うことになるだろう」

そんなことはありえないと、いつどうやって伝えればいいのか——

イネスはその答えを持たないまま、彼の胸に引き寄せられた。

昼と夜がどれほど遠くても、
夜になれば何事もなかったように一日が終わる。

彼が彼女を抱きしめ、
彼女が彼に抱きしめられて。

逃げ続けた一日の果てに残るのは、
結局この腕の中だけだった。

それが、彼女が以前と同じ日常の中で、
唯一耐え抜くことのできるものだった。

——ひどく利己的な理由から

—— 今日も、夢を見ない眠りが訪れた

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原作2巻総括|白黒だった人生に色が戻り始める

8章「人魚と兵士」は、カンラン石のメダルによって封じられていた記憶が動き出し、
イネスとカッセルの過去が少しずつ姿を現し始める章でした。

2巻全体を通して見ると、ここで描かれていたのは恋愛の進展ではなく、
「白黒だった人生に色が戻り始めること」だったのかもしれません。


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📖 今回のエピソード対象範囲

プラットフォーム対象話数
ピッコマ・LINE漫画・COMICO第40話相当
めちゃコミ第41話相当(推定)

📖 作品情報・配信プラットフォーム

  • 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
  • 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
  • 原作: CHACHA KIM
  • 脚色: CHOKAM
  • 作画: Cheong-gwa

【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ

・comico

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  • 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
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