🌹 本記事は、『この結婚はどうせうまくいかない』原作第7巻・第16-2章をもとに、高解像度あらすじ形式で構成しています。
会話部分や必要な箇所では、原作の表現を引用しています。
※ネタバレ注意:ここから先は、重大なネタバレを含みます。
パノテの告白を聞いた瞬間、
カイエターナの表情が獣のように歪んだ。
彼女はアリシアの髪を掴み、そのまま床へ叩き倒した。
第16章「川はみな海に注ぐが、海は満ちることがない㉗
「よくも……! よくもエスカランテの世継ぎに手を出したな!」
アリシアの頭が床へ打ちつけられた。
カイエターナは鎖骨の下を踏みつけ、起き上がれないよう押さえ込んだ。
「いけません……! カイエターナ様……! 私こそ子どもを授かったのです……! もう少し確実になってから申し上げようと……!」
アリシアは、自分が皇太孫を宿しているのだと縋るように訴え続けた。
大衆というものは
カイエターナは冷たく語り始めた。
「人間というものは、自分が間違っていたと認めることを何より嫌うものだ」
「人は集団になればなるほど、自らの誤りを認められなくなる。
どれほど賢い者が集まろうと、大衆というものは愚かなものだ」
だからこそ——仮にイネスが本当に妊娠していなかったとしても、あの子が守られるべき存在であることは変わらない。
イネスが正しくなければ、彼ら自身も正しくなくなってしまうのだから。
「だがアリシア。お前も同じではないのか?
つい今しがた、お前は自分が皇太孫を身ごもっていると言ったな」
――「私は……真実を申しております」
「皆、きっとこう言うだろう。『私だってそう思っていた』、『イネスには、妊娠を偽らなければならないほどの事情があったのだ』と。
そして誰もがお前を指さし、この世のあらゆる嫌悪を向けるだろう。
——ちょうど今、私がお前を見ているようにな」
「私は昔から、お前という女は根本から間違っていると思っていた。その一点だけは、私が正しかった」
「お前を軽く見て、そばに置き続けたことこそが最大の過ちだった」
存在したこともない子ども
カイエターナは侍女に命じた。
アリシアの寝室をすべて探し、パノテを見つけてこい、と。
「お前たちの主人には、今すぐ必要な薬だからだよ」
「な……何をなさるおつもりですか!」
アリシアは青ざめた顔で床を這い、必死に逃れようともがいた。
皇太孫に何かあれば、たとえ皇后陛下であっても——と叫び続けた。
カイエターナは静かに答えた。
「だがね、アリシア。存在したこともない子どもを傷つけた責任を、皇室がどうやって私に問えるというのだい?」
その子の半分がお前の血ならば、
私の血統はあの男の代で絶えたほうがよほどましだ、と。
「レジーナ。粉一粒残さず、この女の口へ流し込みなさい」
地獄というものは
部屋中にアリシアの悲鳴が響き渡る中——ようやくオスカルが目を覚ました。
虚ろな目で天井だけを見つめ、
何も聞こえていないかのように、ただ一つの名前を探し続けていた。
「イネス……」
獣の遠吠えのような声だった。
「地獄というものは、別にどこかにあるわけではないのだね」
カイエターナは小さく呟いた。
そして——
魂の抜けたような息子をしばらく見つめ、静かに涙を流した。
しかし次の瞬間には、皇后としての冷たい表情を取り戻す。
そうして何も言わず、部屋を後にした。
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※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。