イネスの書架の長いテーブルには、毎朝アルフォンソの手で整理された朝刊が並べられていた。
知識人の消息誌から御用新聞、貴族向けの生活誌、労働者の街で一枚銅貨で売られるイエロー・ペーパーまで。
紙の質も論調も千差万別だったが、ただ一点だけ共通していたのは……
一面から、カッセル・エスカランテの名が消えることがないことだった。
ネタバレ注意
ここから先は、重大なネタバレを含みます。
第15章「人間と獣の時間」15章-⑳|あらすじ
イネスとルシアーノ
今更なことだと言いながら、ルシアーノはとっくに飽き飽きした顔だった。
それでもイネスは新聞を一つ一つ吟味し続けた。
丹念に読み込むものもあれば、開くやいなや読み飛ばすものもある。
目的は一つだった。
いつも同じで、変わることなく、何に直面しても決して敗北しない——
そのイメージをオルテガの万民に体得させること。
将来、いかなる皇帝も、あえて害することのできない人にすること。
ルシアーノの含みのある視線が、妹に向けられた。

「毎回同じカッセル・エスカランテ。まさにそこが重要なの」
イネスはしばし、霞む視界で新聞の中の夫を見つめた。
ずっと、遠い昔から——あまりに惜しい男だった。
やがて晴れやかな顔でナイフを手に取り、記事を切り抜いた。
病床のエスカランテ公爵のためという口実を兼ねた、彼女の新しくも唯一の趣味だった。
ルシアーノの不安
ーータルディラカ(Tardillaca)
ルシアーノがその名を口にした。
アリシアが薬を手に入れただけでは動けない。
たとえ醜態が露見しても、皇帝は息子をかばい、すべてを葬り去るだろう。
中途半端に打って出れば、自分たちの軌跡が露呈する。
だからこそ、あの薬は自分の元へ来なければならない——とイネスは続けた。
ルシアーノは立ち上がった。イネスはその手を掴んだ。
「私たちは最後まで無実でいなければならないの。あらゆる面において」
(引用:原作6巻)
信じると決めたでしょう
ルシアーノはイネスの手首を掴み、引き寄せた。
宮廷で誰かが突然彼女を倒れさせ、皇太子の寝室へ連れて行くかもしれない。
出陣以来、その予測が頭を離れないと。
一度くらいは、相手にそう思わせる必要があるとイネスは返した。
兄の瞳が高い位置から荒々しく見下ろした。
イネスは穏やかに微笑む。
「ルシアーノ。本当に、そんなことは起きないわ。私を信じると決めたでしょう」
(引用:原作6巻)
イネスの周囲で、静かに、何かが動き始めようとしていた。
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📖「6巻の読み方はこちら」
→6巻以降の読み方ガイド
※本記事の人名・地名は原作ベースの仮訳です。今後の公式翻訳により表記が変更される可能性があります。
📕 第15章まとめはこちら
→ 出征前夜までの全展開を整理(ネタバレ)
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
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