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素直になれ
凍えた体が温まるにつれ、レイラは緊張して息を潜めながらも、
その手を拒むことはなかった。
焦点のない目が虚空を彷徨い、まるで人形を抱いているような気分になることもあった。
白く露わになった指の間に、ゆっくりとマティアスの指が絡みつくと、
レイラはびくっとして顔を上げた。
「お前の体のほどにだけ、素直になってみろ、レイラ。」(引用:原作81話)
目が合うと、マティアスの気分は一段と良くなった。
永遠に変わらない心
クロディーヌが渡したお金を固く握り締めた瞬間が、歪んだ光の中で蘇った。
何ごともないかのようにその光景を見守っていた、公爵の姿も共に。
「あなたが本当に嫌い。
これが一番素直な私の心です。永遠に変わらない心よ。」(引用:原作81話)
罪悪感からクロディーヌには向けられなかった憎しみが、
一気にこの男へと噴き出した。
「こうまであなたを憎む女を、あえて引き留めておくほどに自尊心のない人ではないですよね。ならば捨ててください。お願い!」
「お前がこんなに面白いから、私が夢中になってしまうんだろう。」
マティアスはレイラをベッドに寝かせ、一つずつ服を脱がせていった。
その間も、ラッツから持ち帰ったクリスタルの鳥が脳裏に浮かんだ。
去年の晩春、博物館でレイラが手を伸ばして触れようとしたあの金色の翼を持つ鳥と、同じものだった。
覚えていることすら知らなかった、とても小さくて些細な記憶。
そんなものが一体何だというのか。
烙印
「言ってみろ。私が嫌いだと。憎いと。去ると。」
マティアスはレイラの濡れた頬を見つめた。
「そんな顔で、どこまで強がれるのか見せてみろ、レイラ。」
どう答えたのだったろうか。
ただ混濁した熱気だけで満たされた頭の中は、霧がかかったようにぼやけるばかりだった。
心底嫌悪する男に縋るように肩を掴む自分自身に、レイラは強い嫌悪を覚えた。
混濁した熱と羞恥、自責だけが彼女を呑み込んでいった。
恍惚感と自責の念、苦痛と快感が乱雑に混ざり合い、レイラを呑み込んだ。
まるで心に焼き付けられる烙印のようだった。
穏やかな目元が歪むと、たっぷりと溜まっていた涙が流れた。
その涙を舐めながら、マティアスはアルビスを離れていた間、
数え知れないほど多くの瞬間にこの顔を思い描いていたことを悟った。
これまでになかったことであり、不慣れな感情だった。
——なぜ?
繰り返し考えても解消されない疑問がもたらす不快感を拭い去るかのように、
マティアスはぐったりとしたレイラの体を再び力強く引き寄せた。
静かに、レイラ
長く続いた夜が終わり、マティアスはいつものようにすぐに去るかと思われた。
しかし意外にも彼はレイラの傍に戻ってきた。
帯を締めていないガウンを羽織り、白い湯気を上げる水が入った銀色の盥を持って。
「そんなことは、わたし、わたしが……。」
「静かに、レイラ。」
起き上がろうとするレイラの肩をそっと押しながら、マティアスは温かいタオルで自分の痕跡が残った頬と唇の周りを拭き始めた。
少し前まで狂ったように飛びかかってきた男と同一人物とは思えないほど、柔らかな手付きだった。
レイラは目を固く閉じた。
温かいタオルと大きな手が、鐘が鳴るように打つ左胸の上に、かなり長い時間留まっていた。
次話では、マティアスがレイラに「大学進学」という名の提案をし、翌朝クロディーヌの侍女が謝罪に訪れる。
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