🌹 原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第3巻9章②を、高解像度あらすじ形式で構成しています。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点による考察を含みます。
本文中の会話・台詞は、原作の表現を適宜引用しています。
最後まで分からなかったのは、イネスだった
客たちは我先にと帰っていった。
なぜ皆、顔を赤らめていたのか。
イネスには最後まで分からなかった。
あらすじ|火種はどこにでもある②
イネスはあらゆる社交行事に没頭し始めた。
ロゴルーニョの丘は一夜にして社交界の中心となる。
書体練習の集まりで話題に上がったのは、
本妻と現地妻を互いに知らせないまま生きる、二人の重婚詐欺師のことだった。
夫人たちは告発状の作成に燃え上がり、イネスは被害者たちの保護を宣言する。
そこへカッセルが帰宅した。
彼が頬にキスを二度残して部屋を出た途端、客たちは一斉に赤面して帰り支度を始めた。
ロゴルーニョの丘の頂上に
その日から、官邸には女たちの笑い声が絶えなかった。
年配の貴婦人たち、若い士官の妻たち、実業家の娘たち、地方貴族の夫人たち。
集まりの名前と人数と用途だけが日ごとに変わり、目的だけが同じだった。
カルステラの社交界の中心が、一夜にして丘の頂上に変わった。
イネスにとって、この程度の社交はあまりにも簡単だった。
メンドーサで生き抜くための神経戦に比べれば、
カルステラは驚くほど穏やかで、ある意味可愛らしかった。
かつて人々の頭のてっぺんから支配することを好んだ根性が、適度に蘇っていた。
善良なセニョーラを演じなければならない分、
傲慢な顎の上げ方はできないけれど。
書体練習の集まり
今日の集まりの名目は「書体練習」だった。
イネスの筆跡は専門の筆耕士に近く、アセベド夫人の絶賛から始まった集まりだった。
地方では裕福な家柄でも女性に字を教えないことがまだよくある。
品行は優雅なのに、字だけがひどく下手な貴族女性たちが溢れていた。
「信じられないわ。こんなに書けたのに、私の六歳の孫よりひどい字で生きてきたなんて」
コンデ夫人が膝を叩いた。
「だから夫は私を馬鹿にしていたのね」
六歳の子どもにも劣る字で手紙を書いて送っても、内容がまともに目に留まっていたかしら……と。
中年の貴婦人が八歳の少女のように浮かれた声を出すのは、
思ったよりずっと可愛らしかった。
招待されていない夫人たち
そんな中、レア・アルメナーラがふと切り出した。
セニョーラ・ムーニョスとセニョーラ・エトゥーラは、
なぜこういう集まりで見かけないのか、と。
一瞬、目配せが交わされた。
ムニョス中尉とエトゥーラ大尉。
メンドーサには本妻を置き、任地では現地妻を置く、典型的なカルステラ男だった。
問題は、本妻と現地妻が互いの存在を知らないこと。
何も知らない女性を妻だと紹介して連れ歩き、
女同士が集まる場には命がけで連れてこない。
「愛する人に普通、詐欺を働くことはないわ……」
事情を知ったレアまでが怒りに満ちた表情になると、
サルバトーレ夫人が奇妙な微笑みを浮かべた。
「投書でもしましょうか?」
「カルステラ週報に!」
「『私たち』は関与しませんわ。ゴミを嫌う匿名の情報提供者がすることですわ」
「交代で書けば誰が書いたかも分かりませんわね?」
字も立派に整えたことだし、筆写練習もこれでしましょう―― 雰囲気が一気に燃え上がった。
終わるのは、旦那様お一人です
「世間が知る前に、ご本人が知っておくべきではありませんか?」
イネスが静かに言った。
カルステラの奥様たち―― 何も知らずにそんな目に遭えば、一番辛いのはあちらの方だと。
「この一件で、決して奥様方の人生が終わるなどということはございません。どうかご安心ください」
「……」
「終わるのは、旦那様お一人です」
離婚という言葉に、レアが世の終わりを聞いたような顔をした。
頂点に立つ者たちは、殺人を犯しても離婚しない集団だった。
実際、グランデス・デ・オルテガでは離婚よりも情痴殺人の方がはるかに多かった。
それでもイネスは言った。
離婚は思っているほど大したことじゃない。うまくまとめることができればね、と。
「その点は、私の名前が少しは役に立つでしょう」
自分の庇護下へ引き入れて保護する、という宣言だった。
夫人たちの顔が明るくなった。
新しい家族に落ち着きたいならそうすればいい。
働きたいなら仕事を紹介する。
何もしたくないなら、それでも構わない。
まとまった財産を手に入れたら、自分だけの小さな土地を持てばいい。
道は一つだけではないからと。
小さな土地という言葉を“巨大な大地”に変えれば、それがイネス・ヴァレスティナの夢だった。
「急に離婚したくなりましたわ、イネス様」
「アセベド大尉は立派な方ですから、やめてあげてください」
告発状の作成が始まった。
頭を突き合わせ、交代で文字を書いた。
洗練された筆跡で新聞にはとても載せられない罵詈雑言を連ねながら、
応接室は幸せな想像で沸き上がった。
包装紙が緩く解けたプレゼント
そこへ、カッセルが帰ってきた。
訓練帰りのまま、肘までまくり上げたシャツとリネンパンツ姿で。
乱れた髪が額に斜めに流れ落ちていた。
包装紙が緩く解けた、美味しそうな贈り物のようだった。
客たちは各自、肘で例のものを引き寄せて隠した。
それでも危機感より、この顔を見られた喜びの方が勝っていて、
めいめい満面の笑みを浮かべていた。
イネスはその光景を、慣れた様子で満足そうに眺めた。
彼の並外れた競争力を改めて確認することは、決して悪くなかった。
賢い。本当に賢い。
そう満足している最中、突然頬にキスをされた。
「汗臭いわ……」
「じゃあ、きれいに洗って戻るから、また笑っていて」
カッセルは秘密めいたテーブルには目もくれず、
彼女の頬にもう一度キスをして、部屋を出て行った。
一体どういう了見
その途端だった。
「私たちはもう帰らないといけません」
夕食の準備を、と引き止めたが、客たちは一人二人と紙を懐にしまい、席を立った。
なぜか皆、一様に顔を赤らめて。
「エスカランテ大尉に、この申し訳ない気持ちを伝えてください」
「謝罪?何が申し訳ないの、ちょっと待って――」
投書の発送役を熱心に志願するサルバトーレ夫人を最後に、
客たちは我先にと応接室を出て行った。
イネスは、ぽつんと取り残された。
「一体どういう了見……?」
イネスは最後まで分からなかった。
奥様方が逃げるように帰った理由も。
自分だけが、何も気づいていなかったことも。
▶ 次の話(続き)【第9章|火種はどこにでもある】
→3巻第9章| 火種はどこにでもある③(※更新予定)
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原作8章「人魚と兵士」は、カンラン石のメダルによって封じられていた記憶が動き出し、
イネスとカッセルの過去が少しずつ姿を現し始める章でした。
2巻全体を通して見ると、ここで描かれていたのは恋愛の進展ではなく、
「白黒だった人生に色が戻り始めること」だったのかもしれません。
▶ まとめて読みたい方はこちら
→ この結婚はどうせうまくいかない 考察一覧
▶ 作品全体を理解したい方はこちら
→ 完全ガイド
▶ 登場人物を整理したい方はこちら
→ 人物相関図
📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO | 第42話相当 |
| めちゃコミ | 第43話相当(推定) |
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
📖 原作小説・漫画(韓国語版)について
管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
- 原作漫画:kakaopage
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