原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第5巻第13章⑥をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。
「遅かったのね」とイネスは言った。
いつもの夕方だった。迎えに出ていた。
それだけのことが、カッセルの耳たぶを真っ赤にさせた。
そして夜が明ける前、眠る彼の手の甲に口づけを落としながら、イネスは初めて思った。
死にたくない、と。
📖この記事の位置づけ
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第13章⑥|死にたくない(この記事)
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あらすじ|帰り道 ⑥
提督の視察から戻ったカッセルを、イネスは一階で待っていた。
いつものカルステラでの夕方のように、再会し、玄関から応接室へ、
その夜、場所を変えながら何度も求め合った。
やがて過去の声が流れ込む。
ーー『死んでも、あなたの子どもなんて産みたくなかった』
自分の声なのに、幼く鋭く、刃のように響いた。
イネスは、カッセルがその声を聞いてしまったのではないかと怖かった。
彼の返事を聞いてしまうのではないかと怖かった。
記憶が戻るのが怖かった。
イネスは震える腕で彼の首に抱きついた。
夜が明ける前、傍らで眠るカッセルをイネスはそっと見つめた。
死にたくない。
年老いたかった。
あなたと一緒に生きていきたかった。
これまで何度も死を経験してきたけれど、一度たりとも年老いたことはなかった。
考察01|「迎えに来てくれたのか?うれしいな」
イネスはもう隠さずに答えます。

「あなたがなかなか帰ってこないから、
一階にいたの」
カッセルはしばらく言葉を失い、じっと彼女を見つめながら、耳たぶを真っ赤に染めた。
もし自分が、彼が邸宅に戻ってくる道を何日も何日もずっと見つめながら待っていたことを知ったら、あまりの喜びに気を失ってしまうかもしれない——そんな姿は二度と見られない。だから知られないようにしなければ。(引用:原作5巻)
イネスは冷めた怒りをふと思い出しながら、カッセルを許した。
まるで昨夜の続きのように唇が重なった。
長い夜の間、空のベッドも一人で迎えた朝もなかったかのように。
考察02|過去の声、再び
その夜、再び声が流れ込む。
『死んでも、あなたの子どもなんて産みたくなかった、エスカランテ。』
(ー中略ー)
『……もう二度と妻の目の前に現れないでと言うかもしれないわ。』(引用:原作5巻)
自分の声だった。
しかしどこか幼く、鋭く尖った響きだった。
ただ故意に、ただひたすら傷つけるためだけに発した声。
カッセルがその声を聞いてしまったのではないかと恐れた。
彼の「あれに対する」返事を聞いてしまうのではないかと怖かった。
記憶がもっとよみがえってしまうのが怖かった。
もう二度と君の前で笑わないと、
必死に懇願していたあの顔が浮かんでくるから——。
遠く感じられた距離はあっという間に消えた。
言葉はなくても、頬を撫でる指先から心配が伝わってきた。
イネスは震える腕を持ち上げ、彼の首に回して抱きしめた。
まるでこの世に二人しかいないように。
考察03|初めての24歳として
夜明け前、傍らで眠るカッセルをそっと見つめた。
これまで何度も同じベッドで夜を過ごしてきたのに、
自分が彼より早く目覚めた日が一度でもあったのかと思った。
彼が言っていた「朝、待っていること」というのは、こういうことだったのだろうか……。(引用:原作5巻)
枕のそばに置かれた彼の指先に唇を寄せ、一瞬、陰鬱に沈む瞳を隠すように目を伏せた。
罰のような記憶は、すでに二度の人生で十分だった。
知らないからこそ堂々と手に入れられる幸福が必要だった。
「少なくとも、自分が『覚えている』限りでは、まだ人生の一部であったことのないカッセル・エスカランテ。
彼女が壊れ、壊してしまったすべてを、今もその当時も知らない男。」(引用:原作5巻)
だからこそ、彼の目に映る自分だけをすべてだと思いたかった。
今ここに。
初めての24歳として——。
考察04|死にたくない
ようやく、人生を生きているように感じた。
やっと時間が流れるように思えた。
完全な人間になれたように思えた。
もはや牢獄に立って解放を待つかのように、死ぬ日だけを待って生きたくはなかった。
死にたくなかった。
死にたくない。
「いいえ、もっと、ずっと長く……。
あなたが年老いていく姿を見たいわ、カッセル。あなたと一緒なら、どこでも。」
(引用:原作5巻)
これまで何度も死を迎えてきた。
けれど、一度たりとも年老いたことはなかった。
こんなふうに誰かと朝を迎え、同じ時間を積み重ねながら老いていく未来を、
彼女はまだ知らない。
もしかすると今、自分は初めて本当に生きているのかもしれない。
イネスは込み上げる息を、押し殺した嗚咽とともに飲み込み、唇を噛んだ。
この時間が、もう少しだけ続いてほしかった。
カッセルと同じ速度で年を重ね、同じ未来を生きていきたかった。
そんな願いを抱いたのは、これが初めてだった。
それでも、過去は完全には消えていなかった。
再び脳裏に流れ込むのは、かつての自分が彼へ向けた残酷な言葉だった。
『あなたが嫌い。全部、何もかも嫌なの……』(引用:原作5巻)
本心ではないことは、自分でもわかっていた。
ただ彼を傷つけるためだけに、真逆の言葉を吐いたのだ。
『…君を好きでごめん、イネス。(ー中略ー)君を好きになってごめんね……』
その言葉だけが、理解できないままイネスの胸に残った。
カッセルが眠りについたあと、
イネスは腕がしびれてしまわないよう、彼の腕をそっと外した。
それでも離れたくはなかった。
起こさないように、彼女はそっとその指先に触れる。
手のひらをなぞり、節の太い親指に触れ、
小指に光るエスカランテ家の紋章の指輪と、薬指の結婚指輪をゆっくりと撫でた。
そして最後に、彼の手を包み込むように握り、手の甲へ静かに口づけを落とした。
それは、カッセルがいつも彼女にしてくれていたことだった。
まとめ
過去の声は、また彼女を追いかけてきた。
それでもイネスは、もう過去だけを見てはいなかった。
眠るカッセルの手に触れながら、彼と同じ時間を生きていきたいと思った。
年を重ねたいと思った。
何度も死を迎えてきた彼女が、初めて未来を失いたくないと思った夜だった。
次回、13章⑦「避妊薬——君が死ぬのが怖かった」へ続く
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📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO | 第106〜107話相当 |
| めちゃコミ | 第116〜117話相当(推定) |
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
📖 原作小説・漫画(韓国語版)について
管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
- 原作漫画:kakaopage
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