原作小説『この結婚はどうせうまくいかない』第2巻第6章①をネタバレ考察します。
本記事は、管理人ロゼの個人的な視点から描かれた考察です。
5章終盤、あの「化粧台の鏡の前」での夜以来、二人の関係は表面上、劇的な変化を迎えます。
しかし、その内実はあまりにも対照的です。
イネスは「離れる準備」のために。
カッセルは「離れられなくなる」ほどに。
そんな二人の、噛み合わないからこそ切なく、どこか滑稽な一幕を紐解いていきましょう。
📖この記事の位置づけ
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第6章①|離れる準備をするイネスと、離れられなくなるカッセル(この記事)※2巻
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原作2巻 第6章①|終わりのための前奏曲
鏡の前で強い感情に揺れたあの夜。
しかしイネスは、それが決して無理強いされたものではなかったことを、
誰よりも理解しています。
その夜も、そして続く毎晩も、カッセルは常に誠実で、その仕草はどこまでも優しい。
だからこそ、彼女は「敗北感」を抱きます。
カッセルは上手く、自分も上手だから。
鏡に映る熱を帯びた自分を直視し、彼女は冷静に言い聞かせます。
これは単なる「夫婦の義務」の遂行であり、
自分は、ただそれをうまくやってのけただけなのだと。
「すべては、彼を捨てるための壮大な前奏曲に過ぎない。」(引用:原作2巻)
彼女はその「敗北感」を、円満な離婚に向けた計画の一部として飲み込み、
その先に待つ自由だけを見つめようとします。
しかし、彼女がそうやって事務的に処理しようとすればするほど、
カッセルは変貌していくイネスから目を離せなくなっていく。
これまで無気力に横たわっていた彼女が、
突然、完璧な「邸宅の女主人」を演じ始めまたのはなぜか。
放置したままの庭の整備、
邸宅内に溢れかえった荷物の整理、
そして使用人たちへの過剰なまでの親切。
すべては、将来の離婚に備えた布石——自分に有利な証言をしてくれる「味方」を作るため。
イネスは淡々と計画の実行を進めます。
惑わされる夫、深まる執着
一方、帰宅したカッセルを待っていたのは、見たこともない光景でした。
生まれて初めて見る、
鮮やかな黄色のドレスを纏い、薄く化粧を施し、
耳元に後れ毛をこぼしたイネス。
香水の匂いを漂わせ、しなだれかかるように腕を絡めてくる彼女に、
カッセルは猛烈な違和感と同時に、抗えない熱を覚えます。
「誰に対しても公平に不親切な彼女の社会性で、今この瞬間があり得るだろうか。」
(引用:原作2巻)
幼少期から、皇太子の前ですら作り笑いを見せなかったあの傲慢なイネス・ヴァレスティナ。
彼女がなぜ今、使用人たちに偽善を振りまいているのか。
カッセルは、彼女が何かを企んでいると直感しながらも、
その美しさと、重ねてきた時間の記憶に理性を揺さぶられていきます。
夜が来るのが待ちきれない彼は、
沈まぬ太陽を恨めしく見上げ、心の中で一人毒づきます。
滑稽なまでのすれ違い
食事の席でも、イネスの「官邸改造計画」は止まりません。
柵の修理から、カッセルのためのプレイルーム(温室)作りまで、
彼女は一方的にまくし立てます。
その姿に、カッセルは呆れ果てて問いかけます。

「君は六歳の時から、
自分の寝室の家具一つ変えずに生きてきた女だぞ」
かつての「黒猫のように寝てばかりいた」彼女を、
あれはあれで可愛かったのにと懐かしむカッセル。
しかし、目の前のイネスは、
使用人のアルフォンソが席を外した途端、それまでの「しおらしい女主人」の仮面を脱ぎ捨て、いつもの無機質な顔に未練もなく戻ります。
さらにカッセルが驚愕したのは、
彼女が自分の副官を招待してパーティを開くと告げた時でした。
もはや、カッセルにとってのイネスは「理解不能な存在」へと変貌しています。
しかし、理解できないからこそ、彼は彼女の顔を突き刺すほどに見つめ、
その一挙手一投足に神経を尖らせてしまう。
開き続ける温度差
イネスが着々と「離婚への足場」を固め、家を整え、外堀を埋めているその瞬間、
気づけばカッセルは、彼女が整えていくその「家という名の囲い」から離れられなくなりつつあります。
かつて、メンドーサーで浮名を流した「放蕩児」の面影はどこへやら……
読者である私たちは、裏で冷徹に計画を進めるイネスの掌の上で、
必死に彼女の意図を測ろうとするカッセルに、同情を禁じ得ません。
まとめ|「離れる準備」を整える妻、準備が整うほどに「離れられなくなる」夫
この皮肉な逆転現象は、二人の運命をどこへ運んでいくのでしょうか。
カルステラの官邸が整っていくにつれ、
二人の心はよりいっそう、複雑に絡み合っていくようです。
カッセルは、イネスの豹変ぶりに、具合が悪いのではないかと終始心配しています。
しかし、彼が本当に心配すべきは、彼女の体調などではなく、
すでに手遅れになりつつある、自分自身の変化かもしれません。
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📖 今回のエピソード対象範囲
| プラットフォーム | 対象話数 |
| ピッコマ・LINE漫画・COMICO(※配信開始) | 第24〜25話に相当 |
| めちゃコミ | 第25〜26話相当(推定) |
📖 作品情報・配信プラットフォーム
- 邦題: この結婚はどうせうまくいかない
- 原題: 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
- 原作: CHACHA KIM
- 脚色: CHOKAM
- 作画: Cheong-gwa
【日本語版漫画】
・ピッコマ(最新話先行配信)
・めちゃコミック
・LINEマンガ
・comico
📖 原作小説・漫画(韓国語版)について
管理人ロゼは、完結までの物語を見届けた後も、以下の公式配信サイトで大切に作品を追い続けています。
- 原作小説:韓国公式サイト(RIDI)にて配信中
- 原作漫画:kakaopage
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