🌹 本記事は、『この結婚はどうせうまくいかない』原作第7巻・終章をもとに、高解像度あらすじ形式で構成しています。
会話部分や必要な箇所では、原作の表現を引用しています。
※ネタバレ注意:ここから先は、重大なネタバレを含みます。
※地名・人名について:本作には現時点で原作小説の公式日本語翻訳版がないため、地名・人名などの固有名詞は原文をもとに当サイトで日本語表記しています。今後、公式日本語版で異なる表記が採用される可能性があります。
終章|風はかつて吹いていた場所へと帰っていく 10
あなたが守れと言った約束を、私はすべて守った——そう書き出されたイネスの手紙は、
あの犬畜生の死を告げ、彼の名を利用したことを詫びた。
そして最後に一つの赦しを差し出す。
あなたの手も、もう汚さなくていいの、と。
あの犬畜生が、ついに死んだわ
彼がそんなふうに苦しんでいることなど知る由もなく、手紙の中のイネスは、いつもと変わらない調子で言葉を続けていた。
『私、あなたが守れと言っていた約束をすべて守ったわ』
一部は破ったかもしれない。けれど、一番大切な約束だけは守ったのだと。
そして——。
『あの犬畜生が、ついに死んだわ、カッセル』
その文字には、わずかにペンを強く押しつけた跡が残っていた。
だが、そこにあるのは燃え上がるような憎悪ではない。
そこに滲んでいるのは、わずかな歓喜と、すでに薄れつつある憎悪。
そして無関心だった。
オスカルは、自分が最も蔑んでいた民衆から、それ以上の蔑みと嫌悪を向けられ、最後にはカッセルの名によって踏み潰された。
——覚えているかしら?
カッセルがかつて、自分が死んだとしても復讐しないでほしいと願ったこと。
オスカルを自らの手で傷つけず、自分自身にはわずかな害も受けずに生きてほしいと願ったこと。
今や、その約束はすべて果たされた。
カッセル、あなたを少し売ってしまったの
イネスは続けて、自分がカッセルの死を利用したことを告白した。
『……だからカッセル、あなたを少し売ってしまったの』
カッセルは、どうしようもない微笑みを浮かべた。
どうせ僕は君のものなのだから、百回だろうと千回だろうと、売り払ったところで何だというのだ。
むしろ切なかったのは、こんなことですら自分の顔色を窺う彼女だった。
——そして、自分の死まで、あの手に扱わせてしまったこと。
だがイネスは、カッセルが生きていると信じていたからこそ、その名を使えたのだと念を押す。
そして、もう一つ。
遠い海でカッセルが築き上げた名声は、彼自身の知らないところで、確かにメンドーサのイネスを救っていた。
人々はカッセルを愛していた。
だからこそ、その妻に起きたことに怒ったのだ。
結局、彼が遠い海で成し遂げたすべては、決して無駄ではなかった。
それはまるで、この手紙を読んだカッセルが何に最も苦しむのかまで分かっていたイネスが、あらかじめ差し出した慰めのようだった。
嘘だ、イネス
『あなたがいない場所でも、あなたはいつだって私と共にいたわ。カッセル』
——「……嘘だ」
『あなたが私を守り、私を救い出したの。いつだって』
——「嘘だ、イネス」
『あなたが私を生かしてくれたの。あの夜も、あなたが死んだ昨日も』
カッセルは手紙を持った手を下ろし、腕で濡れた目を覆った。
何度読み返したのだろう。
もう目を閉じても、その先に続く文字が浮かぶほどだった。
あなたの手も、もう汚さなくていいの
イネスは、何一つ自分の手を汚さなかったと書いた。
カッセルがいたから、その必要がなかった。
彼の死を聞いて自暴自棄になることも、自分の人生を投げ出すこともなかった。
自分も、子供たちも無事だ。
そして今度は、かつて自分を復讐から遠ざけようとしたカッセルへ、イネスの方から同じ願いを返す。
『あなたの手も、もう汚さなくていいの。あなたには私がいるのだから』
これからは、彼らの不幸とは何の関係もなく生きていく。 まるで最初から、自分たちしか存在しなかったかのように。
奴らの血の一滴さえ、自分たちには跳ねかからせない。
メンドーサに残された問題も、すでにイネスは自分の手から離していた。
『今度あなたが戻ってきたら、カルステラへ戻って、何年かはそこで暮らしたいわね。
子供たちも、そこで育ってくれたらと思うの。できることなら、生涯だっていいわ』
正気を保ちなさいね
明日から「カッセルの遺品」として届けられた手紙を、一日一通ずつ読むつもりだ。
できれば全部読み終える前に帰ってきてほしい。
手紙の最後には、そう書かれていた。
そして、さっそく一通読んでみたらしい。
『これからは手紙にあまりにも露骨なことを書くのは、少し自重してちょうだい。
私たちの孫たちが見たらどうするつもりなの? 正気を保ちなさいね』
——メンドーサにて
イネス・エスカランテ・デ・ペレスより。
← 終章-09|あなたこそが、私の現実(前の記事へ)
→ 終章-11|僕が君の命だというんだな(次の記事へ)
📖 作品情報・配信プラットフォーム
この結婚はどうせうまくいかない 이 결혼은 어차피 망하게 되어 있다
日本語版漫画
韓国語版(原作)
管理人ロゼが、完結後も大切に作品を追い続けている公式配信サイトです。
※ 海外サービスのため、日本からの利用条件は事前確認をおすすめします。
【免責事項】
※翻訳方針については当サイトの「翻訳・引用ポリシー」をご確認ください。
※本記事は作品のテーマを考察するものであり実在の行為を推奨・肯定する意図はありません。
※作品の引用・翻訳は著作権法の範囲内で行い、引用元を明記しています。
※本記事は作品内容の分析・評論を目的としたものであり、原作の翻訳全文を掲載するものではありません。